[OE-2-2] 口述発表:神経難病 2好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)により四肢遠位に末梢神経障害を呈した1症例
【はじめに】
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下,EGPA)の臨床症状は気管支喘息やアレルギー性鼻炎を先行に認め,末梢血好酸球増多に伴う血管炎による末梢神経害を生じることがあり,本邦の指定難病に位置付けられている.EGPAによって生じた末梢神経障害の重症度は経過によって異なり,急性期で回復した後に経過が遷延することもあるとされている.今回,EGPAと診断され四肢遠位に末梢神経障害を呈した症例を経験し,随意型運動介助型電気刺激装置(以下,IVES)と装具の併用によりMotor Activity Log(以下,MAL)と日常生活活動(以下,ADL)の向上を認めた為,以下に報告する.
【症例】
氏名:A氏,70歳代後半の男性.発症の数日前から四肢遠位の筋力低下,下腿紫斑が出現し,発熱と四肢の筋力低下で急性期病院を受診して検査結果によりEGPAと診断された.入院後3病日からステロイド,大量ガンマグロブリン静注療法,間欠的シクロホスファミド静注療法にて治療開始されたが,多発単神経炎による末梢神経障害による筋力低下を認め,リハビリテーション(以下,リハビリ)継続目的で91病日に当院へ入院となった.
【初回評価】
右手に正中神経領域の末梢神経障害による鷲手を認め,ADLは左上肢のみで行っていた.徒手筋力テスト(以下,MMT )は右手関節背屈:2,右母指MP屈曲と第1~4指PIP・DIP屈曲:1,と筋力低下を認めた.握力は,右:0.4kg,左:0.8kgであった. MALの結果は,Amount of use(以下,AOU):0.5点,Quality of Movement(以下,QOM):0.4点であった.感覚は右手の表在と深部共に鈍麻で異常感覚の痺れによる疼痛の訴えが強くShort-Form McGill Pain Questionnaire(以下,SF-MPQ)を用いて痛みの程度の検査した結果,「ズキンズキンする痛み」が最も強く,「ビーンと走る」,「刃物で突き刺さる」,「うずく」等の痛みが該当した.機能的日常生活自立度(以下,FIM)は76点で食事は左手を使用して自立していたが,症例の希望は「右手で食事をしたい」とのことであった.
【介入経過】
手関節背屈動作の筋力向上を目的にIVESを使用し,感覚は左手の閾値で設定した.IVESと手関節固定装具を併用して食事動作を行い自助スプーンや食器の選定,環境設定を行った結果,右手での食事動作が獲得できた.また,異常感覚による疼痛で靴と装具のベルクロに接触することで困難であった為,ベルクロにリングを装着して母指をひっかける方法でADLを獲得して171病日に自宅退院となった.
【結果】
MALのAOU:3.6点,QOM:3.4点と右上肢の使用頻度と満足度共に向上した.SF-MPQは,痛みの項目に変化はなかったが,点数は減点してADLにおける痛みの影響は改善した.ADLは右手での食事動作は獲得でき,リングを靴と装具のベルクロに母指に引っ掛ける方法で基本動作は自立となりFIM:94点と改善した.
【考察】
末梢神経障害のリハビリとして筋の再教育や装具使用による機能の代償が報告されている.今回,IVESによる残存筋の再教育と装具の使用による障害された機能の代償や自助具の選定によって右手の食事動作獲得がMALの向上に繋がったと考える.
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下,EGPA)の臨床症状は気管支喘息やアレルギー性鼻炎を先行に認め,末梢血好酸球増多に伴う血管炎による末梢神経害を生じることがあり,本邦の指定難病に位置付けられている.EGPAによって生じた末梢神経障害の重症度は経過によって異なり,急性期で回復した後に経過が遷延することもあるとされている.今回,EGPAと診断され四肢遠位に末梢神経障害を呈した症例を経験し,随意型運動介助型電気刺激装置(以下,IVES)と装具の併用によりMotor Activity Log(以下,MAL)と日常生活活動(以下,ADL)の向上を認めた為,以下に報告する.
【症例】
氏名:A氏,70歳代後半の男性.発症の数日前から四肢遠位の筋力低下,下腿紫斑が出現し,発熱と四肢の筋力低下で急性期病院を受診して検査結果によりEGPAと診断された.入院後3病日からステロイド,大量ガンマグロブリン静注療法,間欠的シクロホスファミド静注療法にて治療開始されたが,多発単神経炎による末梢神経障害による筋力低下を認め,リハビリテーション(以下,リハビリ)継続目的で91病日に当院へ入院となった.
【初回評価】
右手に正中神経領域の末梢神経障害による鷲手を認め,ADLは左上肢のみで行っていた.徒手筋力テスト(以下,MMT )は右手関節背屈:2,右母指MP屈曲と第1~4指PIP・DIP屈曲:1,と筋力低下を認めた.握力は,右:0.4kg,左:0.8kgであった. MALの結果は,Amount of use(以下,AOU):0.5点,Quality of Movement(以下,QOM):0.4点であった.感覚は右手の表在と深部共に鈍麻で異常感覚の痺れによる疼痛の訴えが強くShort-Form McGill Pain Questionnaire(以下,SF-MPQ)を用いて痛みの程度の検査した結果,「ズキンズキンする痛み」が最も強く,「ビーンと走る」,「刃物で突き刺さる」,「うずく」等の痛みが該当した.機能的日常生活自立度(以下,FIM)は76点で食事は左手を使用して自立していたが,症例の希望は「右手で食事をしたい」とのことであった.
【介入経過】
手関節背屈動作の筋力向上を目的にIVESを使用し,感覚は左手の閾値で設定した.IVESと手関節固定装具を併用して食事動作を行い自助スプーンや食器の選定,環境設定を行った結果,右手での食事動作が獲得できた.また,異常感覚による疼痛で靴と装具のベルクロに接触することで困難であった為,ベルクロにリングを装着して母指をひっかける方法でADLを獲得して171病日に自宅退院となった.
【結果】
MALのAOU:3.6点,QOM:3.4点と右上肢の使用頻度と満足度共に向上した.SF-MPQは,痛みの項目に変化はなかったが,点数は減点してADLにおける痛みの影響は改善した.ADLは右手での食事動作は獲得でき,リングを靴と装具のベルクロに母指に引っ掛ける方法で基本動作は自立となりFIM:94点と改善した.
【考察】
末梢神経障害のリハビリとして筋の再教育や装具使用による機能の代償が報告されている.今回,IVESによる残存筋の再教育と装具の使用による障害された機能の代償や自助具の選定によって右手の食事動作獲得がMALの向上に繋がったと考える.