[ON-5-2] 口述発表:地域 5チームアプローチにより地域生活のなかで「遊び」を獲得していった事例
【序論】
本事例は,筆者が成年後見人として本人の支援チームを構築していき,1対1の遊びからやがて1人遊びを獲得して,日中を問題なく過ごすことができるに至った経過について報告するものである.なお,本発表に関しては口頭で説明を行い,関係者及び関係者の親族より同意を得ている.また,演題発表に関連し,開示すべきCO I 関係にある企業等はない.
【目的】
本事例は母親に軽度知的障害があり,母子の関係性を構築できず,また遊具等も与えられないままに成人に至り,母親との衝突が絶えずに強度行動障害により他害行為を繰り返していたケースに対して,成年後見人として福祉サービスとの連携や遊具の提供により本人の精神的な安定を図ることを目的として介入した.
【方法】
ケースは30歳代前半,男性.診断は重度知的障害及び自閉スペクトラム症.
X年10月裁判所からの審判により成年後見人を受任し,支援を開始した.その頃は他害行為を繰り返したために入院していた精神科病院を退院したばかりであり,福祉サービスは全く提供されていなかった.
X+1年3月週1回日中一時支援の利用開始.その後も他害行為が度々見受けられた.
X+2年7月ショートステイの利用開始.
同年8月施設での他害行為により日中一次支援,ショートステイの利用停止.その後もヘルパーや訪看への暴力があり,全てのサービスの利用停止.その頃より,本人が関心を持つ遊具を提供,訪問の際には1対1での遊びを行うようにしていった.
X+3年2月より週1回行動援護サービスの利用開始.外出時には遊具をもたせるようにし,支援員には1対1での遊びを行うよう依頼した.
同年3月より週1回生活介護サービスの利用開始.事業所に遊具を持参して,遊びを促してもらうよう依頼した.その後も,本人が興味・関心を持つような遊具を持参しながら,遊びによる関りを継続していった.また,行動援護を週2回に増やし,外出の際に遊ぶ機会を増やしていった.
X+6年9月頃より本人が自宅において遊具で1人遊びをする場面を見かけるようになり,本人からは欲しい本や遊具を求める発言が目立つようになってきた.求めるものも,従来よりも広がりをもつようになっている.
【結果】
現在は他害行為等のトラブルもなく,自宅で過ごすことができている.行動援護での活動にも問題なく外出することができるようになっている.介入を開始したのが30歳代前半であり,それまで自宅で遊ぶ機会を提供されないでいたが,長期間の関りではあったものの,やがて自宅において1人で遊ぶことが可能となった.
【考察】
母親が適切な関りを持つことができず,それに起因して強度行動障害による他害行為を繰り返していた事例であった.30歳台前半まで「遊び」の活動が出来ずにいたが,各福祉サービス事業所と連携しながら1対1での遊びを継続していった結果,やがて一人での遊びを獲得することができた.それまでの間,本人の興味・関心を探りながら適切な遊具を提供していき,チームで情報を共有しながら統一した対応をとることによって,本人が安心して自宅で過ごすことができるようになったものである.
本事例は,筆者が成年後見人として本人の支援チームを構築していき,1対1の遊びからやがて1人遊びを獲得して,日中を問題なく過ごすことができるに至った経過について報告するものである.なお,本発表に関しては口頭で説明を行い,関係者及び関係者の親族より同意を得ている.また,演題発表に関連し,開示すべきCO I 関係にある企業等はない.
【目的】
本事例は母親に軽度知的障害があり,母子の関係性を構築できず,また遊具等も与えられないままに成人に至り,母親との衝突が絶えずに強度行動障害により他害行為を繰り返していたケースに対して,成年後見人として福祉サービスとの連携や遊具の提供により本人の精神的な安定を図ることを目的として介入した.
【方法】
ケースは30歳代前半,男性.診断は重度知的障害及び自閉スペクトラム症.
X年10月裁判所からの審判により成年後見人を受任し,支援を開始した.その頃は他害行為を繰り返したために入院していた精神科病院を退院したばかりであり,福祉サービスは全く提供されていなかった.
X+1年3月週1回日中一時支援の利用開始.その後も他害行為が度々見受けられた.
X+2年7月ショートステイの利用開始.
同年8月施設での他害行為により日中一次支援,ショートステイの利用停止.その後もヘルパーや訪看への暴力があり,全てのサービスの利用停止.その頃より,本人が関心を持つ遊具を提供,訪問の際には1対1での遊びを行うようにしていった.
X+3年2月より週1回行動援護サービスの利用開始.外出時には遊具をもたせるようにし,支援員には1対1での遊びを行うよう依頼した.
同年3月より週1回生活介護サービスの利用開始.事業所に遊具を持参して,遊びを促してもらうよう依頼した.その後も,本人が興味・関心を持つような遊具を持参しながら,遊びによる関りを継続していった.また,行動援護を週2回に増やし,外出の際に遊ぶ機会を増やしていった.
X+6年9月頃より本人が自宅において遊具で1人遊びをする場面を見かけるようになり,本人からは欲しい本や遊具を求める発言が目立つようになってきた.求めるものも,従来よりも広がりをもつようになっている.
【結果】
現在は他害行為等のトラブルもなく,自宅で過ごすことができている.行動援護での活動にも問題なく外出することができるようになっている.介入を開始したのが30歳代前半であり,それまで自宅で遊ぶ機会を提供されないでいたが,長期間の関りではあったものの,やがて自宅において1人で遊ぶことが可能となった.
【考察】
母親が適切な関りを持つことができず,それに起因して強度行動障害による他害行為を繰り返していた事例であった.30歳台前半まで「遊び」の活動が出来ずにいたが,各福祉サービス事業所と連携しながら1対1での遊びを継続していった結果,やがて一人での遊びを獲得することができた.それまでの間,本人の興味・関心を探りながら適切な遊具を提供していき,チームで情報を共有しながら統一した対応をとることによって,本人が安心して自宅で過ごすことができるようになったものである.