[OQ-2-4] 口述発表:管理運営 2在日外国人患者の医療に関する考察
文献タイトルの計量テキスト分析から
【はじめに】
日本では1961年に国民皆保険制度が始まり,その後の公衆衛生対策,医療技術の構築,保健福祉サービスの提供などを経て世界有数の長寿国となった.2000年以降,これまでに蓄積された健康に関する知識や経験を海外の国々とも共有する取り組みが進められており,現在では,厚生労働省や経済産業省等によりユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の普及をはじめとした医療・保健分野における国際貢献や医療制度,技術,人材,機器等の国際展開が推進されている.上記の取り組みは2019年頃からのCOVID-19の影響を受けているものの,国内に住む外国人の数は増加傾向にあり,国内の医療機関を受診する外国人患者数は今後も増加するものと考えられる.医療機関での外国人患者の受入れについては,時代の変化に対応し,多様な利用者に安心・安全な医療を提供していくこと期待される.今回,外国人患者についてどのようテーマが議論されているのかを把握することを目的に,文献タイトルを対象とした計量テキスト分析を実施した.以下,その結果を報告する.
【方法】
日本語文献のデータベースである医中誌とCiniiを用いて,「外国人患者」をキーワードに文献検索を行った.次に検索で該当した文献のタイトルを対象に計量テキスト分析を実施し,頻出語句,語句間の関係性を示す共起ネットワークから,外国人患者に関するテーマについて考察した.なお,計量テキスト分析にはKH coder3を使用し,分析の前処理として,ソフトウェアの設定に沿って対象ファイルのエラーチェック,抽出しない語(31語)の設定,Term Extractによる複合語の設定を行っ
た.
【結果】
文献検索の結果,医中誌190文献,Cinii356文献の計546文献が該当し,分析対象は出語数10,140(使用数:4,983)であった.語の出現頻度については「対応」「現状」「課題」「問題」「受入れ」「コミュニケーション」「看護」「医療通訳」といった語の頻度が高くなっていた.共起関係にある語のつながりを把握する,共起ネットワークでは(1)医療の国際化への対応に関する事,(2)外国人患者の受入れ体制,(3)看護,(4)医療通訳,(5)様々な支援についての5つのクラスターに分類された.
【考察】
分析の結果,外国人患者の受入れや支援体制について議論されている事が示唆された.また,臨床場面においては看護や医療通訳については議論がなされていた一方で,リハビリテーションについては,頻出語,共起ネットワークともに関連を示唆する結果が抽出されず,ほとんど議論がなされていない事が推測された.日本で暮らす外国人にとって,リハビリテーションをより身近なものとなるよう,外国人患者のリハビリテーションに関する議論がなされることが期待される.
【倫理関連】
本発表に利益相反はない.また,個人情報の保護等に留意し研究を実施した.
日本では1961年に国民皆保険制度が始まり,その後の公衆衛生対策,医療技術の構築,保健福祉サービスの提供などを経て世界有数の長寿国となった.2000年以降,これまでに蓄積された健康に関する知識や経験を海外の国々とも共有する取り組みが進められており,現在では,厚生労働省や経済産業省等によりユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の普及をはじめとした医療・保健分野における国際貢献や医療制度,技術,人材,機器等の国際展開が推進されている.上記の取り組みは2019年頃からのCOVID-19の影響を受けているものの,国内に住む外国人の数は増加傾向にあり,国内の医療機関を受診する外国人患者数は今後も増加するものと考えられる.医療機関での外国人患者の受入れについては,時代の変化に対応し,多様な利用者に安心・安全な医療を提供していくこと期待される.今回,外国人患者についてどのようテーマが議論されているのかを把握することを目的に,文献タイトルを対象とした計量テキスト分析を実施した.以下,その結果を報告する.
【方法】
日本語文献のデータベースである医中誌とCiniiを用いて,「外国人患者」をキーワードに文献検索を行った.次に検索で該当した文献のタイトルを対象に計量テキスト分析を実施し,頻出語句,語句間の関係性を示す共起ネットワークから,外国人患者に関するテーマについて考察した.なお,計量テキスト分析にはKH coder3を使用し,分析の前処理として,ソフトウェアの設定に沿って対象ファイルのエラーチェック,抽出しない語(31語)の設定,Term Extractによる複合語の設定を行っ
た.
【結果】
文献検索の結果,医中誌190文献,Cinii356文献の計546文献が該当し,分析対象は出語数10,140(使用数:4,983)であった.語の出現頻度については「対応」「現状」「課題」「問題」「受入れ」「コミュニケーション」「看護」「医療通訳」といった語の頻度が高くなっていた.共起関係にある語のつながりを把握する,共起ネットワークでは(1)医療の国際化への対応に関する事,(2)外国人患者の受入れ体制,(3)看護,(4)医療通訳,(5)様々な支援についての5つのクラスターに分類された.
【考察】
分析の結果,外国人患者の受入れや支援体制について議論されている事が示唆された.また,臨床場面においては看護や医療通訳については議論がなされていた一方で,リハビリテーションについては,頻出語,共起ネットワークともに関連を示唆する結果が抽出されず,ほとんど議論がなされていない事が推測された.日本で暮らす外国人にとって,リハビリテーションをより身近なものとなるよう,外国人患者のリハビリテーションに関する議論がなされることが期待される.
【倫理関連】
本発表に利益相反はない.また,個人情報の保護等に留意し研究を実施した.