第56回日本作業療法学会

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一般演題

教育

[OR-4] 一般演題:教育 4

Sat. Sep 17, 2022 12:30 PM - 1:30 PM 第7会場 (RoomD)

座長:山根 伸吾(藍野大学)

[OR-4-2] 口述発表:教育 4COVID-19禍における本学の臨床実習の試み

古賀 誠1作田 浩行1渡部 喬之12 (1昭和大学保健医療学部作業療法学科,2昭和大学横浜市北部病院リハビリテーション室)

【はじめに】作業療法(以下,OT)に限らず,2020年から約2年,世界はCOVID-19の影響を多大に受けている.厚生労働省は養成校に,実習に変わる演習または学内実習など必要な知識及び技能を習得することで差し支えない,と通達している.全国リハビリテーション学校協会による「臨床実習における新型コロナウィルス感染拡大の影響」のアンケート調査(2021年)では,9割以上の養成校が実習をできていない,内容の変更をした,という現実であった.
昭和大学(以下,本学)は,附属病院で専門的実習と学部連携実習を行える強みがある.演者らは,2年時の臨床実習科目(以下,本科目)を担当する.本科目は,将来のOT像を抱く上でも重要な位置付けである.本科目はOTの対象と対象者の状態の理解と,作業療法士のクリニカルリーズニングに触れることを学修成果としている.
 COVID-19禍において,2020年度の本科目は,空白時間を短縮した形で継続できた.本科目のCOVID-19の対応は,以下の通りであった.本学のCOVID-19感染対策を踏まえて,感染者が現れた病院には学生の出入りを禁止した.病院実習が中止となった対象学生に対しては,OT学科臨床教員(各病院に配置)が本科目の学修成果に沿った事例検討をオンライン(事例実習)で行い,途切れさせなかった.日替わりで臨床教員が事例実習を担当した.
本研究は,本学の倫理委員会の承認を得ている(21-053-A).
【目的】COVID-19禍の臨床実習を経験した学生の意見を集約して,今後の本学の臨床実習に資する.
【方法】本科目の履修学生19名に,Google formを使用して「コロナ禍における臨床実習について」アンケート調査を行った.得られたテキストデータはKH Coder3を使用し,テキストマイニングの手法を用いて分析した
【結果】総抽出語は,466語であり,出現回数上位60語かつ最小出現回数2以上の語を用いて,共起ネットワークの作成を行った.強制抽出語は「作業療法」「臨床実習」「事例実習」「コロナ禍」「感染管理」「臨床教員」とした.サブグラフが3つ得られた.
サブグラフ1は,臨床実習で授業内で学んだ感染管理教育を実践できた,臨床現場で患者を診れなかったことは残念であったこと,現場に行かないが代替の事例実習で自分で調べたり,グループで話し合う主体的な学びができた,ということであった.サブグラフ2は,コロナ禍という特殊な状況で実習を経験できたことや臨床教員やその他の医療関係者に対する感謝,事例実習を準備した臨床教員に対する感謝であった.サブグラフ3は,代替であった事例実習によって充実した臨床実習ができたことであった.
【考察】COVID-19禍という緊迫した臨床現場に立ち,不安を抱きながら感染管理を徹底して,医療従事者の感染管理に対する姿勢を学修できた.
事例実習では,臨床教員がクリニカルリーズニングに沿った課題を提示し,それを学生はグループでディスカッションして多面的に捉えるトレーニングを行うことができた.オンラインで臨床教員と質疑応答ができ,クリニカルリーズニングの理解の架け橋になり,本科目の学修成果を満たしたと考えられた.