[OR-4-3] 口述発表:教育 4診療参加型実習における学生の臨床思考過程を高める効果的手段の開発に向けた事前調査
~フォーカス・グループ・ディスカッション~
【背景】作業療法の臨床実習形態は診療参加型実習への移行が推奨されている(日本作業療法士協会,2018).これまでの実習と比較し臨床実践の経験値が高まる一方で,臨床思考過程を養う点において希薄化が懸念される声も聞かれる.臨床思考過程の指導方法という点においては,大部分を施設や指導者に委ねられており,未だ錯綜している現状から,効果的な臨床思考過程の指導方法の確立が必要である.
【目的】診療参加型実習の実習形態に適した効果的な臨床思考過程の指導方法や習得手段の開発にむけて,まずは臨床思考過程指導におけるこれまでの課題や取り組み方法について,現状の状況を調査し,開発における理論的基盤や根拠を構築させるための足場作りが目的である.
【方法】作業療法養成校教員2名ないし3名,並びに臨床実習施設において学生指導や指導者育成を行っている施設指導者2名ないし3名の組み合わせで1グループ5名のグループを作成し,参加者を入れ替え,同様な組み合わせのグループをもう1グループ作成する.2グループに対して,1回90分程度で半構造化集団面接を用いたフォーカス・グループを行った.Zoomを用いたオンラインでのインタビューで,インタビュアーは事前に作成したインタビューガイドを基に筆頭演者が行った.養成校教員,施設指導者それぞれの立場において,「臨床思考過程を学生が学ぶ上での課題と取り組み」を主なテーマとし,ディスカッションをしてもらった.分析は,事前に同意を得たZoomの録画記録の音声データをテキスト化し逐語録を作成した後,質的研究分析ソフトMAQQDAを用いて分析を行った.本研究は,星城大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2020C0018).
【結果】研究参加に同意を得て,インタビュー開催日に参加可能であったのは養成校教員4名,施設指導者4名の計8名(男性5名,女性3名)で2グループにわけて実施した.参加者の所属先は関東から九州まであり,作業療法士としての経験年数は,16年目が1名で,その他は全員20年以上であった.分析の結果,課題については,「指導者の課題」,「作業療法における臨床思考過程という概念」「養成校教員・教育の課題」「学生の課題」「臨床実習のあり方」「指導方法の変遷」のカテゴリーが抽出され,それぞれにおいてサブカテゴリーも抽出された.取り組みについては,「ICF/MTDLPの活用」「作業療法理論的枠組み」「ディスカッション」「ポートフォリオ」のカテゴリーが抽出された.
【考察】実習形態がどのように変化しようとも,臨床実習は作業療法の臨床思考過程を最も効果的に学習できる場である.しかしながら,今回のインタビューによって得られた課題は多岐に及び根深く,現状で学生が臨床実習を通して臨床思考過程が効果的に身についているとは言い難い.このことは,卒後教育や作業療法士として必須な「臨床推論」の育成にも影響を及ぼすと考えられ,やはり効果的な指導方法や手段の開発は急務であると言える.今後は,医学教育を始めとする教育学における理論的背景を基に,今回のインタビューであげられた手法や取り組みなどを活用しながら,臨床現場で実践可能な臨床思考過程を高める効果的手段の開発に取り組んでいく.
【目的】診療参加型実習の実習形態に適した効果的な臨床思考過程の指導方法や習得手段の開発にむけて,まずは臨床思考過程指導におけるこれまでの課題や取り組み方法について,現状の状況を調査し,開発における理論的基盤や根拠を構築させるための足場作りが目的である.
【方法】作業療法養成校教員2名ないし3名,並びに臨床実習施設において学生指導や指導者育成を行っている施設指導者2名ないし3名の組み合わせで1グループ5名のグループを作成し,参加者を入れ替え,同様な組み合わせのグループをもう1グループ作成する.2グループに対して,1回90分程度で半構造化集団面接を用いたフォーカス・グループを行った.Zoomを用いたオンラインでのインタビューで,インタビュアーは事前に作成したインタビューガイドを基に筆頭演者が行った.養成校教員,施設指導者それぞれの立場において,「臨床思考過程を学生が学ぶ上での課題と取り組み」を主なテーマとし,ディスカッションをしてもらった.分析は,事前に同意を得たZoomの録画記録の音声データをテキスト化し逐語録を作成した後,質的研究分析ソフトMAQQDAを用いて分析を行った.本研究は,星城大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号2020C0018).
【結果】研究参加に同意を得て,インタビュー開催日に参加可能であったのは養成校教員4名,施設指導者4名の計8名(男性5名,女性3名)で2グループにわけて実施した.参加者の所属先は関東から九州まであり,作業療法士としての経験年数は,16年目が1名で,その他は全員20年以上であった.分析の結果,課題については,「指導者の課題」,「作業療法における臨床思考過程という概念」「養成校教員・教育の課題」「学生の課題」「臨床実習のあり方」「指導方法の変遷」のカテゴリーが抽出され,それぞれにおいてサブカテゴリーも抽出された.取り組みについては,「ICF/MTDLPの活用」「作業療法理論的枠組み」「ディスカッション」「ポートフォリオ」のカテゴリーが抽出された.
【考察】実習形態がどのように変化しようとも,臨床実習は作業療法の臨床思考過程を最も効果的に学習できる場である.しかしながら,今回のインタビューによって得られた課題は多岐に及び根深く,現状で学生が臨床実習を通して臨床思考過程が効果的に身についているとは言い難い.このことは,卒後教育や作業療法士として必須な「臨床推論」の育成にも影響を及ぼすと考えられ,やはり効果的な指導方法や手段の開発は急務であると言える.今後は,医学教育を始めとする教育学における理論的背景を基に,今回のインタビューであげられた手法や取り組みなどを活用しながら,臨床現場で実践可能な臨床思考過程を高める効果的手段の開発に取り組んでいく.