[OR-4-4] 口述発表:教育 4実習地との連携が可能にした新しい臨床実習の形
~オンラインによる実習を試みて~
【はじめに】COVID-19の拡大により,どの教育現場においても柔軟な対応が求められている.当校も同様であり,臨床実習の機会を失いかねない事態となることが多々あった.県の感染状況評価(ステージ)が上がる度に実習施設から「実習生を受け入れできない」という連絡があり,再度実習施設を探すことの繰り返しであった.学内実習で単位認定をすることも可能であったが,現場での実習に拘り方法を模索していた.このような中,今回,実習施設からの提案でZOOMによるオンライン実習と学内実習を併用した形で評価実習を実施することができた.初めての試みであり,実習施設・学生双方に利点と課題が浮かび上がったので以下に報告する.
【対象および方法】対象は,本学作業療法学科(3年制)に在籍する2年生1名.実習形態は2年次に実施する評価学実習Ⅱ(2022年2月14日~25日の2週間)である.ZOOMの基地局を当校教室におき,週3回,1日5時間程度,オンラインで実習を実施した.デイリーノートやケースノートのフィードバックもZOOM上で行った.今回のオンライン実習で行った具体的な内容を以下に述べる.なお,学内ではオンラインでは実施できない検査の実技指導・練習を行った.
(1)施設プログラムの見学・参加
申し送りから利用者への挨拶.1日のプログラム・動きを見学・参加.
(2)通所型サービスC(短期集中予防サービス)の講義・見学
通所型サービスCに携わる作業療法士からの講義,実際場面の見学,質疑応答.
(3)症例とのコミュニケーション・評価・目標設定
利用者の基本情報を提供していただき,画面越しで可能な動作の観察や面接評価を実施.収集した情報をもとに作業療法目標を設定.
(4)集団体操の実施
「集団体操の見学・参加」,「学内での練習・指導」,「利用者へ実施」の手順で行った.
実習終了後に実習生および実習指導者にアンケートを実施(予定).
【結果】抄録作成時点では,実習が終了していない状態であるがいくつかの課題が見つかった.学生からは,「画面越しでは対象者の表情が読み取りにくい」,「パソコン画面を見続けるため,目や肩が痛む」などの意見が挙がった.実習指導者からは,「オンライン上で学生とコミュニケーションをとれる利用者が限られる」,「臨床現場の雰囲気を伝えることができるカメラアングルに苦慮した」などが挙がった.逆に利点として,実習指導者から「コロナ禍において,リアルな臨床の雰囲気を感じ取ってもらえて良かった.」という声をいただくとともに,教員側も基地局を学内に設置したことで,実習生の理解度や躓きを実習指導者と共有しやすく,実習後の学内指導に活きる有益な情報を得ることが出来た.
【考察および結論】今回のオンライン実習では,課題は散見されるものの,従来行われてきた動画(学習教材)を使用した学内実習より,現場に近く緊張感をもった実習になったと考える.ZOOM越しではあるが学生が症例にリアルタイムで関わり,情報を得,思考する.そこに担当作業療法士の指導が入り,学生の視点が広がっていく様子は,現場での実習そのものだと感じた.また,『どうしても実習地でなければできないこと』と,『学内でも代替できること』の振り分けが,朧気ながらもできたことは大きな収穫であった.今回の実習形態は,実習地の多大な協力が無ければ成り立たないものであり,課題は多い.見えてきた課題を認識し,実習生のより良い学びの場となる臨床実習形態を検討,模索していきたい.
【対象および方法】対象は,本学作業療法学科(3年制)に在籍する2年生1名.実習形態は2年次に実施する評価学実習Ⅱ(2022年2月14日~25日の2週間)である.ZOOMの基地局を当校教室におき,週3回,1日5時間程度,オンラインで実習を実施した.デイリーノートやケースノートのフィードバックもZOOM上で行った.今回のオンライン実習で行った具体的な内容を以下に述べる.なお,学内ではオンラインでは実施できない検査の実技指導・練習を行った.
(1)施設プログラムの見学・参加
申し送りから利用者への挨拶.1日のプログラム・動きを見学・参加.
(2)通所型サービスC(短期集中予防サービス)の講義・見学
通所型サービスCに携わる作業療法士からの講義,実際場面の見学,質疑応答.
(3)症例とのコミュニケーション・評価・目標設定
利用者の基本情報を提供していただき,画面越しで可能な動作の観察や面接評価を実施.収集した情報をもとに作業療法目標を設定.
(4)集団体操の実施
「集団体操の見学・参加」,「学内での練習・指導」,「利用者へ実施」の手順で行った.
実習終了後に実習生および実習指導者にアンケートを実施(予定).
【結果】抄録作成時点では,実習が終了していない状態であるがいくつかの課題が見つかった.学生からは,「画面越しでは対象者の表情が読み取りにくい」,「パソコン画面を見続けるため,目や肩が痛む」などの意見が挙がった.実習指導者からは,「オンライン上で学生とコミュニケーションをとれる利用者が限られる」,「臨床現場の雰囲気を伝えることができるカメラアングルに苦慮した」などが挙がった.逆に利点として,実習指導者から「コロナ禍において,リアルな臨床の雰囲気を感じ取ってもらえて良かった.」という声をいただくとともに,教員側も基地局を学内に設置したことで,実習生の理解度や躓きを実習指導者と共有しやすく,実習後の学内指導に活きる有益な情報を得ることが出来た.
【考察および結論】今回のオンライン実習では,課題は散見されるものの,従来行われてきた動画(学習教材)を使用した学内実習より,現場に近く緊張感をもった実習になったと考える.ZOOM越しではあるが学生が症例にリアルタイムで関わり,情報を得,思考する.そこに担当作業療法士の指導が入り,学生の視点が広がっていく様子は,現場での実習そのものだと感じた.また,『どうしても実習地でなければできないこと』と,『学内でも代替できること』の振り分けが,朧気ながらもできたことは大きな収穫であった.今回の実習形態は,実習地の多大な協力が無ければ成り立たないものであり,課題は多い.見えてきた課題を認識し,実習生のより良い学びの場となる臨床実習形態を検討,模索していきたい.