[PH-3-2] フレイル予防プログラムに参加し,心身機能の改善がみられた統合失調症患者の1例について
【はじめに】日本における高齢者の健康特性を考えるとき,フレイル予防が課題となっており,様々な場所で予防の取り組みがなされている.しかし,統合失調症など精神疾患を抱える患者に対しての活動報告は少ない.当院デイナイトケア(以下D N C)で,厚生労働省フレイル・基本チェックリストを実施した所,35人中32名がフレイルの可能性がある点数に該当した.当院DNC通所者の9割は統合失調症患者である.通所者の平均年齢は60歳と高齢ではあるが,疾患特性の影響で活動性の低下がみられ,心身機能の低下などがみられているそのため,今回D N Cでフィットネスバイク・栄養指導・生活チェック表を用いて,フレイル予防の介入を実施した.その結果,歩行速度の上昇,生活意欲の向上などの改善がみられた事例を経験したため,臨床経過を報告する.なお,本症例には発表に関して説明を行い書面にて同意を得ている.また,当院倫理委員会の承認を得ている.開示すべきC O Iもない.
【症例紹介】40歳代男性,両親と実家暮らしをしている.診断名は統合失調症で主症状は誇大妄想・陰性症状,合併症は糖尿病がある.X−23年前に発症し,病院を転々としていた.X−17年当院初回入院し6回ほど入退院を繰り返している.X—4年生活支援目的でD N C通所開始となっている.D N Cには週5回通所しており,活動に対しては消極的で見学していることが多い.介入前に,フレイル・基本チェックリストを実施し,フレイルの可能性がある点数と判定された.また,介入期間の処方内容はクロザピン400mgで変更はなかった.
【方法】介入期間は,介入開始から6週間実施した.内容としては,1)運動面(フィットネスバイク15分),2)栄養面(栄養指導,食事レコーディング),3)生活・精神面(生活チェック表にて気分・体調などを確認)
【評価】1)運動面:握力測定,歩行テスト(10m歩行),2)栄養面:体重測定,食事内容,3)心身機能(気分,体調)Visual Analogue Scale(以下V A S)評価,4)疲労:D N Cの終わりに疲労感があるかをはい・いいえで確認,5)生活の質:WHOQOL26を実施した.
【結果】運動面は,10m歩行で介入前1.03m/秒から1.52m/秒と基準値1m/秒を上回った.握力については変化がなかった.栄養面は,食事内容の変化は殆どみられなかった.体重は,約1kg減となった.心身機能は,気分は平均6.6から平均9.8と向上した.体調は平均6.6から平均8.2と向上した.疲労感については,疲労の訴えが平均2日から,終了時には疲労の訴えなく経過していた.生活の質は,WHOQOL26の結果としては,QOL介入前平均値0.63,介入後平均値0.63で変化はなかったが,面談時に,「意欲が出てきて,色々なことに取り組んでいきたい.」との発言が聞かれた.また,行動面においても活動に自発的に取り組むなどの変化がみられた.
【考察】運動面の歩行速度に関しては,フィットネスバイクで運動を行ったことで向上したと考える.握力に関しては,直接的なアプローチが行えず改善に至らなかった.栄養面の食事内容に関しては,管理栄養士から食事内容の提案などがなされたが,行動の変容までは至らなかった.体重に関しては,期間中の摂取カロリーに変化はないが,運動量が増加したため1kg減量に至ったと考える.心身機能・生活の質に関しては,窪田らは,「運動にはネガティブな気分を発散させたり,心と体をリラックスさせる」としており,運動の影響により行動の変容や疲労感の減少などに繋がったのではないかと考える.また,毎日生活チェック表を記入・確認することで,自身の変化を実感できたのではないと考える.
【症例紹介】40歳代男性,両親と実家暮らしをしている.診断名は統合失調症で主症状は誇大妄想・陰性症状,合併症は糖尿病がある.X−23年前に発症し,病院を転々としていた.X−17年当院初回入院し6回ほど入退院を繰り返している.X—4年生活支援目的でD N C通所開始となっている.D N Cには週5回通所しており,活動に対しては消極的で見学していることが多い.介入前に,フレイル・基本チェックリストを実施し,フレイルの可能性がある点数と判定された.また,介入期間の処方内容はクロザピン400mgで変更はなかった.
【方法】介入期間は,介入開始から6週間実施した.内容としては,1)運動面(フィットネスバイク15分),2)栄養面(栄養指導,食事レコーディング),3)生活・精神面(生活チェック表にて気分・体調などを確認)
【評価】1)運動面:握力測定,歩行テスト(10m歩行),2)栄養面:体重測定,食事内容,3)心身機能(気分,体調)Visual Analogue Scale(以下V A S)評価,4)疲労:D N Cの終わりに疲労感があるかをはい・いいえで確認,5)生活の質:WHOQOL26を実施した.
【結果】運動面は,10m歩行で介入前1.03m/秒から1.52m/秒と基準値1m/秒を上回った.握力については変化がなかった.栄養面は,食事内容の変化は殆どみられなかった.体重は,約1kg減となった.心身機能は,気分は平均6.6から平均9.8と向上した.体調は平均6.6から平均8.2と向上した.疲労感については,疲労の訴えが平均2日から,終了時には疲労の訴えなく経過していた.生活の質は,WHOQOL26の結果としては,QOL介入前平均値0.63,介入後平均値0.63で変化はなかったが,面談時に,「意欲が出てきて,色々なことに取り組んでいきたい.」との発言が聞かれた.また,行動面においても活動に自発的に取り組むなどの変化がみられた.
【考察】運動面の歩行速度に関しては,フィットネスバイクで運動を行ったことで向上したと考える.握力に関しては,直接的なアプローチが行えず改善に至らなかった.栄養面の食事内容に関しては,管理栄養士から食事内容の提案などがなされたが,行動の変容までは至らなかった.体重に関しては,期間中の摂取カロリーに変化はないが,運動量が増加したため1kg減量に至ったと考える.心身機能・生活の質に関しては,窪田らは,「運動にはネガティブな気分を発散させたり,心と体をリラックスさせる」としており,運動の影響により行動の変容や疲労感の減少などに繋がったのではないかと考える.また,毎日生活チェック表を記入・確認することで,自身の変化を実感できたのではないと考える.