[PK-7-4] 活動の質評価法(A-QOA)の臨床での活用方法と課題
アンケートによる量的分析
【はじめに】我々は,活動の質評価法(以下,A-QOA)の臨床での活用方法と課題をインタビューにより調査し,その結果を第57回日本作業療法学会で報告した.今回はその結果を基にA-QOA認定評価者にアンケート調査を行い,領域別の活用方法と課題の差異について検討した.
【方法】A-QOA認定評価者に登録されている104名に対し,①基本属性,②A-QOA臨床活用方法,③A-QOAを臨床活用する上での課題についてWeb上で回答を求めた.②の活用方法は,評価・介入・成果の作業療法プロセスの中でみられる15項目(「生活歴や作業歴を基に興味関心のありそうな活動を列挙しA-QOAで評価する」,「A-QOAの得点が向上するよう,人-環境-作業の側面から介入を計画し実施する」,「A-QOAの得点が高くなった要因を多職種で共有する」等)の活用方法を4件法(4 かなり出来そう ~ 1 全く出来そうにない)で評定させた.③の課題は,「複数のクライエントを同時に観察評価すると活動中の状態や状況を見落としてしまう」,「A-QOAの採点について相談できる人が周囲にいない」等5項目を4件法(4とても起こり得そう~1全く起こり得そうにない)で評定させた.分析方法は,②と③の各質問項目について各評定値の割合を算出した.次に,②と③の各質問項目についてA-QOAを活用した領域間(身障医療,精神医療,介護保険)で評定値に有意差があるかをKruskal Wallis 検定(p<0.05)を用いて確認した.本研究は県立広島大学研究倫理委員会より承認を得て実施した.
【結果と考察】今回,A-QOAの臨床活用方法と課題に関するアンケートを行ったところ,対象者104名中64名(身障33名,精神15名,介護16名)から回答が得られた(回答率61.5%).領域別に見るとA-QOAの活用方法や課題において全ての領域間で評定値には統計的な有意差は見られなかった(H=0.06~4.87,p=0.09~0.97).しかし次のような傾向が見られた.②の活用方法では,評価・介入・成果のプロセスの中で15項目全てにおいて対象者の80%以上が「3出来そう」または「4かなり出来そう」と回答した.中でも「A-QOAの得点が高くなった要因を多職種で共有する」という項目では,3または4と評定した対象者の割合は全体で86%,領域ごとでは身障82%,精神100%,介護81%となっており,精神医療領域で,より多職種で共有・協議するツールとしてA-QOAが活用できると考えられていることが分かった.これは,この領域ではより作業療法士が介護スタッフと一緒に集団活動や日常のケアに従事しながら,活動に焦点を当てた連携を図っている傾向があることが一因だと推察する.③の課題では,5項目中4項目で対象者の75%以上が課題として「3起こり得そう」または「4とても起こり得そう」と回答した.中でも「複数のクライエントを同時に観察評価すると活動中の状態や状況を見落としてしまう」という項目では,3または4と評定した対象者は全体で100%であり,全領域で課題になりうると感じていることが分かった.これは,A-QOAが活動中のクライエントの表情や言動を詳細に観察する必要があるという特徴を持つためであると推察される.この問題を解決するために,臨床上では活動の様子をビデオ撮影したのち,それを採点するといった工夫が出来る.
【まとめ】前回のインタビュー調査でA-QOAの活用方法と課題を探索し,今回,アンケート調査を用いて量的に分析した結果,15項目の活用方法と5項目の課題は,3つの領域のほとんどの対象者が活用でき,課題だと認識していることが分かった.今回の結果を踏まえ,今後の研修会等で臨床活用方法や課題に対する工夫を伝え,A-QOAの臨床での普及に繋げたい.
【方法】A-QOA認定評価者に登録されている104名に対し,①基本属性,②A-QOA臨床活用方法,③A-QOAを臨床活用する上での課題についてWeb上で回答を求めた.②の活用方法は,評価・介入・成果の作業療法プロセスの中でみられる15項目(「生活歴や作業歴を基に興味関心のありそうな活動を列挙しA-QOAで評価する」,「A-QOAの得点が向上するよう,人-環境-作業の側面から介入を計画し実施する」,「A-QOAの得点が高くなった要因を多職種で共有する」等)の活用方法を4件法(4 かなり出来そう ~ 1 全く出来そうにない)で評定させた.③の課題は,「複数のクライエントを同時に観察評価すると活動中の状態や状況を見落としてしまう」,「A-QOAの採点について相談できる人が周囲にいない」等5項目を4件法(4とても起こり得そう~1全く起こり得そうにない)で評定させた.分析方法は,②と③の各質問項目について各評定値の割合を算出した.次に,②と③の各質問項目についてA-QOAを活用した領域間(身障医療,精神医療,介護保険)で評定値に有意差があるかをKruskal Wallis 検定(p<0.05)を用いて確認した.本研究は県立広島大学研究倫理委員会より承認を得て実施した.
【結果と考察】今回,A-QOAの臨床活用方法と課題に関するアンケートを行ったところ,対象者104名中64名(身障33名,精神15名,介護16名)から回答が得られた(回答率61.5%).領域別に見るとA-QOAの活用方法や課題において全ての領域間で評定値には統計的な有意差は見られなかった(H=0.06~4.87,p=0.09~0.97).しかし次のような傾向が見られた.②の活用方法では,評価・介入・成果のプロセスの中で15項目全てにおいて対象者の80%以上が「3出来そう」または「4かなり出来そう」と回答した.中でも「A-QOAの得点が高くなった要因を多職種で共有する」という項目では,3または4と評定した対象者の割合は全体で86%,領域ごとでは身障82%,精神100%,介護81%となっており,精神医療領域で,より多職種で共有・協議するツールとしてA-QOAが活用できると考えられていることが分かった.これは,この領域ではより作業療法士が介護スタッフと一緒に集団活動や日常のケアに従事しながら,活動に焦点を当てた連携を図っている傾向があることが一因だと推察する.③の課題では,5項目中4項目で対象者の75%以上が課題として「3起こり得そう」または「4とても起こり得そう」と回答した.中でも「複数のクライエントを同時に観察評価すると活動中の状態や状況を見落としてしまう」という項目では,3または4と評定した対象者は全体で100%であり,全領域で課題になりうると感じていることが分かった.これは,A-QOAが活動中のクライエントの表情や言動を詳細に観察する必要があるという特徴を持つためであると推察される.この問題を解決するために,臨床上では活動の様子をビデオ撮影したのち,それを採点するといった工夫が出来る.
【まとめ】前回のインタビュー調査でA-QOAの活用方法と課題を探索し,今回,アンケート調査を用いて量的に分析した結果,15項目の活用方法と5項目の課題は,3つの領域のほとんどの対象者が活用でき,課題だと認識していることが分かった.今回の結果を踏まえ,今後の研修会等で臨床活用方法や課題に対する工夫を伝え,A-QOAの臨床での普及に繋げたい.