[PN-4-2] 新型コロナウイルス感染症COVID-19による行動制限前後のイベント参加者の特徴
緒言:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2023年5月より5類感染症となり,人々の生活における制限は感染拡大前の状況に戻りつつある.
本校の所在地である西宮市では年に一度市役所が主体になり[西宮市民祭り]と称される,市内の官民学の各施設が参加し,全年齢が楽しめるようなイベントが行われており,本校もブースを出展し参加している.2019年の開催の後,2020年は中止,2021年はオンライン開催という,非来場型にて実施されていた.2022年に来場型へ再開し,2023年も継続して行われているという経緯がある.
筆者は前回大会において,COVID-19による行動制限の前後における身体機能の変化について報告した.今回は続報として,行動制限廃止後にどのような身体機能の変化の経過を明らかにし,なぜそのような経過をたどるのかを考察する.
方法:西宮市民祭り参加者のうち,本校のブースを訪れた者の握力を計測し,規制前と規制解除後,そして1年後の変化について平均値を用いて比較した.参加者には計測前に口頭と書面で本調査の趣旨を説明し,同意を得た者のみ集計した.握力は規制前,規制後共に電子握力計(竹井機器工業株式会社T.K.K.5401 GRIP-D)を使用した.
結果:対象者は2019年(規制前)557名(男性210名 女性347名),2022年(規制解除後)230名(男性82名 女性148名),2023年(規制解除後1年経過)317名(男性94名 女性223名)であった.参加者全体の各年代の平均値を(規制前 規制解除後 解除後1年)で示す.10歳未満(10.4 10.1 10.7),10歳代(21.5 22.6 22.6),20歳代(32.0 25.6 29.0),30歳代(34.4 38.5 33.2),40歳代(32.3 37.0 31.6),50歳代(30.3 35.8 29.5),60歳代(27.9 30.1 26.5),70歳代(28.2 27.4 24.3),80歳以上(25.7 25.7 23.0)であった.男性は10歳未満(11.6 10.4 12.0),10歳代(21.5 22.2 25.4),20歳代(36.0 参加者無し 35.9),30歳代(43.4 50.2 44.4),40歳代(43.0 47.1 43.0)50歳代(41.9 42.2 37.8),60歳代(38.2 41.0 36.3),70歳代(33.9 37.4 32.3),80歳以上(31.1 28.9 29.5)であった.女性は10歳未満(10.1 9.9 8.4),10歳代(21.5 23.1 21.3),20歳代(27.7 25.6 24.8),30歳代(27.2 29.1 26.1),40歳代(27.0 30.5 26.4),50歳代(24.0 31.3 26.1),60歳代(23.6 27.3 25.5),70歳代(22.3 24.3 21.8),80歳以上(19.3 22.1 19.8)であった
考察:前回の報告では,制限解除されてすぐの開催であったため,より健康への意識が高い者のデータであった可能性があると考察した.
今回のデータによると,全体,男女共に各年代において規制前の水準に戻ったということがわかった.これより,前回の報告での考察は正しい可能性が高まったと思われる.健康に自信のある参加者は制限が解除されてすぐに行動することができたのではないだろうか.一方健康に自信のなかった参加者は,解除後1年間様子を伺っていたこと,もしくは感染症分類が5類に移行したことなどが影響して,今回の参加に至った可能性がある.そのため収集したデータの握力が低下したように見えるが,参加者の属性が増えたために平均値が下がっただけということもあると思われる.
先行研究においては行動制限によって身体機能が低下したという報告が見られる.今回のデータでは全体の70歳以上の握力が,規制前のデータを下回っていることがわかった.そのためやはり高齢者においては,全体的に見た場合に身体機能は低下していたと思われる.
今回の結果では不確定な要素が多く,統計的な有意差を出すに至らなかったため,可能性の列挙に留まったが,今後はこの活動を継続し,健康への自信についての調査を追加しながら引き続き動向を注視していきたい.
本校の所在地である西宮市では年に一度市役所が主体になり[西宮市民祭り]と称される,市内の官民学の各施設が参加し,全年齢が楽しめるようなイベントが行われており,本校もブースを出展し参加している.2019年の開催の後,2020年は中止,2021年はオンライン開催という,非来場型にて実施されていた.2022年に来場型へ再開し,2023年も継続して行われているという経緯がある.
筆者は前回大会において,COVID-19による行動制限の前後における身体機能の変化について報告した.今回は続報として,行動制限廃止後にどのような身体機能の変化の経過を明らかにし,なぜそのような経過をたどるのかを考察する.
方法:西宮市民祭り参加者のうち,本校のブースを訪れた者の握力を計測し,規制前と規制解除後,そして1年後の変化について平均値を用いて比較した.参加者には計測前に口頭と書面で本調査の趣旨を説明し,同意を得た者のみ集計した.握力は規制前,規制後共に電子握力計(竹井機器工業株式会社T.K.K.5401 GRIP-D)を使用した.
結果:対象者は2019年(規制前)557名(男性210名 女性347名),2022年(規制解除後)230名(男性82名 女性148名),2023年(規制解除後1年経過)317名(男性94名 女性223名)であった.参加者全体の各年代の平均値を(規制前 規制解除後 解除後1年)で示す.10歳未満(10.4 10.1 10.7),10歳代(21.5 22.6 22.6),20歳代(32.0 25.6 29.0),30歳代(34.4 38.5 33.2),40歳代(32.3 37.0 31.6),50歳代(30.3 35.8 29.5),60歳代(27.9 30.1 26.5),70歳代(28.2 27.4 24.3),80歳以上(25.7 25.7 23.0)であった.男性は10歳未満(11.6 10.4 12.0),10歳代(21.5 22.2 25.4),20歳代(36.0 参加者無し 35.9),30歳代(43.4 50.2 44.4),40歳代(43.0 47.1 43.0)50歳代(41.9 42.2 37.8),60歳代(38.2 41.0 36.3),70歳代(33.9 37.4 32.3),80歳以上(31.1 28.9 29.5)であった.女性は10歳未満(10.1 9.9 8.4),10歳代(21.5 23.1 21.3),20歳代(27.7 25.6 24.8),30歳代(27.2 29.1 26.1),40歳代(27.0 30.5 26.4),50歳代(24.0 31.3 26.1),60歳代(23.6 27.3 25.5),70歳代(22.3 24.3 21.8),80歳以上(19.3 22.1 19.8)であった
考察:前回の報告では,制限解除されてすぐの開催であったため,より健康への意識が高い者のデータであった可能性があると考察した.
今回のデータによると,全体,男女共に各年代において規制前の水準に戻ったということがわかった.これより,前回の報告での考察は正しい可能性が高まったと思われる.健康に自信のある参加者は制限が解除されてすぐに行動することができたのではないだろうか.一方健康に自信のなかった参加者は,解除後1年間様子を伺っていたこと,もしくは感染症分類が5類に移行したことなどが影響して,今回の参加に至った可能性がある.そのため収集したデータの握力が低下したように見えるが,参加者の属性が増えたために平均値が下がっただけということもあると思われる.
先行研究においては行動制限によって身体機能が低下したという報告が見られる.今回のデータでは全体の70歳以上の握力が,規制前のデータを下回っていることがわかった.そのためやはり高齢者においては,全体的に見た場合に身体機能は低下していたと思われる.
今回の結果では不確定な要素が多く,統計的な有意差を出すに至らなかったため,可能性の列挙に留まったが,今後はこの活動を継続し,健康への自信についての調査を追加しながら引き続き動向を注視していきたい.