[PR-6-3] 入院患者の主婦業への復帰支援に向けた当法人福岡地区作業療法士へのアンケート調査
【はじめに・目的】近年,若年者においても高血圧・糖尿病・脂質異常症などの動脈硬化危険因子に基づく脳卒中発症が増加している(峰松一.2004).子育て世代の家庭における役割の再獲得を目指す患者が増加したことから,主婦業への復帰支援を目的とした自助具の必要性が高まってきている. 2023年度より,当法人福岡地区作業療法(以下OT)課では主婦業への復帰支援に関する取り組みとして,調理用自助具や既製品を用いた工夫に関する情報のラミネート化,展示スペースの設置,ICTを用いた動画での紹介などスタッフや患者への教育を開始した.そこで今回, 質の高い社会復帰支援のシステム体制を作っていく事を目的とし,取り組み前後における当院OT課スタッフの自助具の知識,認知度等の変化に関する実態調査を行った.発表に際し,事前にOT課スタッフには同意を得ている.開示すべきCOIはない.
【方法】2023年3月から2023年12月までに在籍した新人を除くOT課スタッフに対し,調理用自助具や既製品の自助具の知識,認知度に関してアンケート調査を2回実施した.アンケートはGoogle Formsを用いて匿名で選択式と自由記述方式で回答を得た.調査内容は➀種類の認知度②有効性③提案の必要性④ラミネート化による推奨のしやすさ⑤積極的な活用,の全5項目とした.回答内容は①の問いに関しては,4)大変よく知っている,3)知っている,2)知らない,1)全く知らない.②③④⑤の問いに関しては,4)大変そう思う3)そう思う2)そうは思わない1)全くそうは思わない,の4段階評価とした.また,自由記述欄にて自助具の紹介を行ったスタッフには件数の記載を促した.
【結果】アンケート回収率は,事前調査N=44,n=44(N;対象数,n;回答数,回答率;100%),事後調査N=43,n=42(回答率;97.7%)であった.事前調査の平均値は①種類の認知度2.98②有効性3.70③提案の必要性3.66④ラミネート化による推奨のしやすさ3.52⑤積極的な活用3.50であった.事後調査の平均値は,①種類の認知度2.92②有効性3.59③提案の必要性3.54④ラミネート化による推奨のしやすさ3.49⑤積極的な活用3.49であった.アンケート調査及び取り組み前後でスタッフの自助具の知識や認知度において大きな差はなかった.その他の結果として,自由記述欄ではスタッフが患者に自助具を紹介した件数を得ることが出来,11名のスタッフが26名の患者や法人内地域サロン利用者に紹介しており,購入に至ったケースも見られた.
【考察】自助具への知識や認知度に関して,知らない,必要性を感じていないスタッフも数名みられたがそれ以外では比較的高い傾向であった.また,スタッフや患者の目に見える形で情報提供を行った結果,スタッフが自助具の紹介を行い,実際に患者が自助具を購入するなど,意識と行動の変化に繋がっており,取り組みの意義はあったと考える.院外でもデイケアや地域サロンの場で紹介件数の報告があるなど,生活期においても必要性が高いものであったと考える.近年では,上肢機能訓練に加え3Dプリンタ製の自助具の導入により,麻痺手の機能改善,使用頻度が向上した(宇津宮裕人.2023)との報告もあり,自助具の重要性が再認識されている.また,自助具の導入で生活行為の改善や発展,社会復帰が達成できたとするならば,作業療法の成果である(林正春.2018)とされており,現代の徒手アプローチに加え自助具導入によって,機能改善やQOL向上を図る必要がある.
【終わりに】今回の取り組みにて自助具の必要性や取り組みの意義を確認する事ができた.患者が退院後もその人らしい自立した生活の再獲得ができるよう,今後は多職種連携での支援や取り組みを継続したいと考える.
【方法】2023年3月から2023年12月までに在籍した新人を除くOT課スタッフに対し,調理用自助具や既製品の自助具の知識,認知度に関してアンケート調査を2回実施した.アンケートはGoogle Formsを用いて匿名で選択式と自由記述方式で回答を得た.調査内容は➀種類の認知度②有効性③提案の必要性④ラミネート化による推奨のしやすさ⑤積極的な活用,の全5項目とした.回答内容は①の問いに関しては,4)大変よく知っている,3)知っている,2)知らない,1)全く知らない.②③④⑤の問いに関しては,4)大変そう思う3)そう思う2)そうは思わない1)全くそうは思わない,の4段階評価とした.また,自由記述欄にて自助具の紹介を行ったスタッフには件数の記載を促した.
【結果】アンケート回収率は,事前調査N=44,n=44(N;対象数,n;回答数,回答率;100%),事後調査N=43,n=42(回答率;97.7%)であった.事前調査の平均値は①種類の認知度2.98②有効性3.70③提案の必要性3.66④ラミネート化による推奨のしやすさ3.52⑤積極的な活用3.50であった.事後調査の平均値は,①種類の認知度2.92②有効性3.59③提案の必要性3.54④ラミネート化による推奨のしやすさ3.49⑤積極的な活用3.49であった.アンケート調査及び取り組み前後でスタッフの自助具の知識や認知度において大きな差はなかった.その他の結果として,自由記述欄ではスタッフが患者に自助具を紹介した件数を得ることが出来,11名のスタッフが26名の患者や法人内地域サロン利用者に紹介しており,購入に至ったケースも見られた.
【考察】自助具への知識や認知度に関して,知らない,必要性を感じていないスタッフも数名みられたがそれ以外では比較的高い傾向であった.また,スタッフや患者の目に見える形で情報提供を行った結果,スタッフが自助具の紹介を行い,実際に患者が自助具を購入するなど,意識と行動の変化に繋がっており,取り組みの意義はあったと考える.院外でもデイケアや地域サロンの場で紹介件数の報告があるなど,生活期においても必要性が高いものであったと考える.近年では,上肢機能訓練に加え3Dプリンタ製の自助具の導入により,麻痺手の機能改善,使用頻度が向上した(宇津宮裕人.2023)との報告もあり,自助具の重要性が再認識されている.また,自助具の導入で生活行為の改善や発展,社会復帰が達成できたとするならば,作業療法の成果である(林正春.2018)とされており,現代の徒手アプローチに加え自助具導入によって,機能改善やQOL向上を図る必要がある.
【終わりに】今回の取り組みにて自助具の必要性や取り組みの意義を確認する事ができた.患者が退院後もその人らしい自立した生活の再獲得ができるよう,今後は多職種連携での支援や取り組みを継続したいと考える.