15:30 〜 16:45
[MIS11-P08] 宮城県女川湾における津波堆積物の特徴
キーワード:津波堆積物、女川湾
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,東北から関東域にかけての広い範囲において津波が発生し、東北地方太平洋沿岸域に甚大な被害をもたらせた。東海大学では2012年度より東北マリンサイエンス拠点形成事業プロジェクトの一環で、JAMSTECとともにリアス式海岸の発達する岩手県沿岸域を中心に瓦礫マッピングを目的とした総合海洋調査を実施している。2014年からは、宮城県女川湾において瓦礫マッピング・表層堆積物を含む海底環境の特徴を捉えるための調査を開始した。
女川湾は、南に存在する牡鹿半島と北に位置する出島に囲まれ、東の太平洋に開口した典型的なリアス式湾である。女川湾に注ぎ込む主な河川は、2級河川である女川のみであり、河川からの砕屑性堆積物供給はあまり望めない湾である。周辺の地質は、湾奥部を中-後期三畳紀の海性堆積岩類(黒色シルト岩)、湾中央部から湾口にかけての地域は中-後期ジュラ紀の海性堆積岩類(砂岩〜シルト岩)から構成され、沿岸域は五部浦湾の湾奥から東側海岸域を除き砂浜は存在せず岩礁域が発達している。河川及び沿岸周辺からの砂質堆積物の供給が少ない女川湾において、3.11津波が襲う事で湾内表層底質環境はさらに泥質優勢になったことが指摘されている。この変化の特徴は、これまで東海大学が明らかにしてきた三陸海岸域の特徴(多くの湾で砂質堆積物が表層を覆う)とは、全く異なっている。3.11津波が女川湾の海底底質環境変化の実態を明らかにするため、2013年高分解能地層探査(SBP)、2014年サイドスキャンソナーソナー(SSS)による海底イメージマッピングおよびバイブロコアリングによる柱状試料採取(VCS)を行った。
SBPでは、1)湾奥部(防波堤〜港内)において、多くの瓦礫反射および海底下50cm・2m付近に明瞭な断続的発達する反射面を捉える事が出来た。2)湾中央部(水深35-40m)では、平坦な海底に平行な数条の反射面が海底下15m付近まで発達しているのが確認された。3)湾南に発達する五部浦湾内では、水深10-24m付近まで海底に平行な反射面が数条確認することが出来た。特に海底下20cm・70cm・100cm付近には明瞭な反射面の発達が確認された。4)瓦礫に関する異常反射は、湾内において水深30m付近以浅で明瞭に分布していることが明らかになった。
底質の変化を捉えるために行ったVCSでは、五部浦湾において水深17m地点(93cmの柱状試料:15ONV1)、水深22m(120cmの柱状試料:15ONV2-2)、水深24m(47cmの柱状試料:15ONV3)の地点において柱状試料を採取する事に成功した。現在各試料の岩相記載、粒度組成分析を行っている。いずれも表層部には層厚10cm程度の細粒砂からなる層(U-1層)が発達し、基底部は比較的粒度が粗くなっている。15ONV2-2ではU-1層基底部(10-12cm)には中粒砂〜粗粒砂から構成され表層に向かい上方細粒化が見られる。また、U-1層下位(10-120cm)には生物擾乱で特徴づけられるシルト質層(U-2)が発達する。このU-2層中(60-73cm)には白色の火山灰層が確認された。
現在採取コアの記載・分析を継続中であるが、基本的に砕屑性砂質堆積物の少ない湾中での津波活動は、五部浦湾周辺の砂岩起源の海岸砂を取り込み、さらに湾内の表層泥質堆積物を攪拌させる事で、表層に薄いU-1層(津波起源堆積物)を形成させ、泥質優勢な底質を再堆積させたと推定される。
女川湾は、南に存在する牡鹿半島と北に位置する出島に囲まれ、東の太平洋に開口した典型的なリアス式湾である。女川湾に注ぎ込む主な河川は、2級河川である女川のみであり、河川からの砕屑性堆積物供給はあまり望めない湾である。周辺の地質は、湾奥部を中-後期三畳紀の海性堆積岩類(黒色シルト岩)、湾中央部から湾口にかけての地域は中-後期ジュラ紀の海性堆積岩類(砂岩〜シルト岩)から構成され、沿岸域は五部浦湾の湾奥から東側海岸域を除き砂浜は存在せず岩礁域が発達している。河川及び沿岸周辺からの砂質堆積物の供給が少ない女川湾において、3.11津波が襲う事で湾内表層底質環境はさらに泥質優勢になったことが指摘されている。この変化の特徴は、これまで東海大学が明らかにしてきた三陸海岸域の特徴(多くの湾で砂質堆積物が表層を覆う)とは、全く異なっている。3.11津波が女川湾の海底底質環境変化の実態を明らかにするため、2013年高分解能地層探査(SBP)、2014年サイドスキャンソナーソナー(SSS)による海底イメージマッピングおよびバイブロコアリングによる柱状試料採取(VCS)を行った。
SBPでは、1)湾奥部(防波堤〜港内)において、多くの瓦礫反射および海底下50cm・2m付近に明瞭な断続的発達する反射面を捉える事が出来た。2)湾中央部(水深35-40m)では、平坦な海底に平行な数条の反射面が海底下15m付近まで発達しているのが確認された。3)湾南に発達する五部浦湾内では、水深10-24m付近まで海底に平行な反射面が数条確認することが出来た。特に海底下20cm・70cm・100cm付近には明瞭な反射面の発達が確認された。4)瓦礫に関する異常反射は、湾内において水深30m付近以浅で明瞭に分布していることが明らかになった。
底質の変化を捉えるために行ったVCSでは、五部浦湾において水深17m地点(93cmの柱状試料:15ONV1)、水深22m(120cmの柱状試料:15ONV2-2)、水深24m(47cmの柱状試料:15ONV3)の地点において柱状試料を採取する事に成功した。現在各試料の岩相記載、粒度組成分析を行っている。いずれも表層部には層厚10cm程度の細粒砂からなる層(U-1層)が発達し、基底部は比較的粒度が粗くなっている。15ONV2-2ではU-1層基底部(10-12cm)には中粒砂〜粗粒砂から構成され表層に向かい上方細粒化が見られる。また、U-1層下位(10-120cm)には生物擾乱で特徴づけられるシルト質層(U-2)が発達する。このU-2層中(60-73cm)には白色の火山灰層が確認された。
現在採取コアの記載・分析を継続中であるが、基本的に砕屑性砂質堆積物の少ない湾中での津波活動は、五部浦湾周辺の砂岩起源の海岸砂を取り込み、さらに湾内の表層泥質堆積物を攪拌させる事で、表層に薄いU-1層(津波起源堆積物)を形成させ、泥質優勢な底質を再堆積させたと推定される。