日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS03] New frontiers in earthquake statistics, physics-based earthquake forecasting, and earthquake model testing

2016年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 106 (1F)

コンビーナ:*鶴岡 弘(東京大学地震研究所)、平田 直(東京大学地震研究所)、Schorlemmer Danijel(GFZ German Research Centre for Geosciences)、Matt Gerstenberger(GNS Science)、座長:Gerstenberger Matt(GNS Science)、Strader Anne(GFZ Potsdam)

14:15 〜 14:30

[SSS03-03] 3D spatial models for seismicity beneath Kanto region

★招待講演

*尾形 良彦1,2桂 康一1鶴岡 弘2平田 直2 (1.統計数理研究所、2.東京大学 地震研究所)

キーワード:ABIC, aftershock productivity, background seismicity rate, b-values, Delaunay function, Omori-Utsu function for induced seismicity

経度、緯度および深さに関する3次元空間の統計モデルの開発は関東平野直下100km深までの地震活動の解析・予測のために特に必要である。関東直下ではフィリピン海プレートと太平洋プレートのスラブが重なって北米プレートに沈み込み、各プレート間やプレート内の地震活動の相互作用が複雑であり、2次元以下の時空間モデルでは詳細な解析結果や確率予測を得ることが難しいためである。
3次元空間の層的時空間ETASモデルは、任意の時刻 t と位置 (x, y, z) での地震活動度が過去の地震発生履歴の関数として記述されるものである。なかでも常時地震活動度 \mu(background seismicity)や余震生産性K(aftershock productivity)は、地域性の変化が特に大きいので,位置の関数と考え地震活動の特徴を定量化する。さらに現在の関東直下の地震活動度は東北地方太平洋沖地震によって誘発された活動度として大森・宇津型の関数で記述する。ここで関東直下における東北沖地震からの影響度KM9の地域的な違いを位置依存性として定量化する。さらに将来の大地震の確率予測のために関東直下におけるマグニチュード頻度分布が必要でGutenberg-Richter則のb-値にも3次元位置依存性を仮定する。これらの解により関東直下の地震活動を特徴づけ、大地震の長期予測や余震の確率予報に適用する。
かくて、震源データから関数 \mu (x,y,z), K (x,y,z) , KM9 (x,y,z) 及び b (x,y,z)を定義し推定するために、関東直下100kmまでの直方体を震源などを頂点とする小4面体にデロネ分割し、これらの関数型を決める係数はデロネ多面体網の頂点での値であり、任意の位置 (x, y, z) における関数値は、その位置を囲むデロネ多面体(tetrahedron)内で線形的に内挿したものである。このような局所的に線形な関数をデロネ関数と呼ぶ。しかし、それらの係数は極めて多数なので最尤法は適用不可であり、求める係数間に制約を付けて安定した解を求める。すなわちデロネ関数の変化が平滑になるように、デロネ関数の局所的な傾きにデロネ多面体の体積を乗じたものの2乗和をペナルティ関数とし、これを付加した対数尤度(penalized log likelihood)を考える。ペナルティの強さを赤池ベイズ情報量規準(経験的ベイズ法)の最小化によって決め、ペナルティ付き対数尤度を最大化する係数を最適解として得る。