[O02-04] 2019年9月台風19号被害を事例とした衛星合成開口レーダデータの役割
★招待講演
キーワード:衛星合成開口レーダー、台風、被害
2019年9月に発生した台風15号および19号は東日本を中心として非常に大規模な風水害をもたらした.日本リモートセンシング学会では,このような災害時に主に衛星データを活用した被害状況の即時把握手法について,ハード面やソフト面など様々な観点から検討されている.一方,筆者自身は2018年7月に発生した西日本豪雨に遭遇した経験を教訓として,全天候の衛星合成開口レーダ(SAR)データの即時公開に注力してきた.近年,衛星SARの利用が極めて積極的に行われるのは,10mの解像度を持つSentinel-1と呼ばれる衛星データが12日周期(2機で6日周期)で,しかも無料で入手できるからである.衛星SARは,雲を透過して地上を宇宙から観測するために,データのロスがないため,災害時の被害把握には非常に適している.さらに,フリーソフトウエア「SNAP」の登場で,誰でも簡単に難しいSARデータの前処理を行うこともできるようになった.本発表では,2019年の台風19号時の衛星SARの処理と配布までの作業を事例に,衛星SARの現状と課題について紹介する.