日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG42] 陸域〜沿岸域における水・土砂動態

2021年6月3日(木) 13:45 〜 15:15 Ch.11 (Zoom会場11)

コンビーナ:木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、浅野 友子(東京大学)、有働 恵子(東北大学災害科学国際研究所)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)、座長:山崎 大(東京大学生産技術研究所)、有働 恵子(東北大学災害科学国際研究所)、浅野 友子(東京大学)、木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)

14:00 〜 14:15

[ACG42-02] 放射性同位体トレーサを用いた沙流川流砂系における土砂動態の解明

★招待講演

*水垣 滋1、大塚 淳一1、村上 泰啓1、巖倉 啓子1 (1.国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所)

キーワード:土砂生産源推定、天然放射性同位体、粒径

日本では1950年代より全国的な海岸侵食が問題となっており、山地~海岸まで河川を通じた流砂系の総合的な土砂管理が求められている。流砂系の土砂動態を把握するとともに、土砂の生産源を把握することは極めて重要な基本的課題である。そこで、本研究は、流砂系における土砂動態を明らかにすることを目的に、北海道の沙流川流域を対象に、山地~海域まで浮遊土砂、河床材料、海岸砂、沿岸底質などさまざまな土砂を採取し、放射性同位体トレーサによる生産源推定を行った。その結果、海岸砂や沿岸底質は主に砂で構成され、上流域の付加体堆積岩・メランジ基質や深成岩の寄与度が高いことがわかった。一方、浮遊土砂は主にシルト・粘土で構成され、堆積岩、変成岩地域が主要な生産源であることがわかった。河床材料にはシルト・粘土分はほとんど含まれないことから、中下流域の山地斜面から生産されると考えられる。砂成分は、山地斜面だけでなく、河床材料の再移動により、海岸・沿岸底質に寄与している可能性がある。このことは、海岸侵食・砂浜消失への対策には、山地上流域から海まで、十分量の砂を海域へ供給できるだけの河道内貯留と連続性が必要であることを示唆している。