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[AOS15-08] 茨城県から宮城県沖における懸濁粒子動態と海底境界層過程
キーワード:懸濁粒子動態、海底境界層、乱流、粒径分布
海洋内の懸濁粒子の巻上げ・沈降・輸送過程の詳細把握は、堆積物、ベントス、底魚類等の底生生態系の理解に向けて不可欠の課題である。本研究は、福島県およびその周辺県沖の陸棚上から斜面域における海底境界層物理過程と懸濁粒子動態の関連性に着目し、その関連性解明に向けた現地調査および数値実験を実施した。現地調査ではLISST-100X/200Xを用いた粒径別粒子濃度調査を行った。観測結果からは、水深100 m以上の海域の海底近傍における高濁度層が頻繁に確認された。さらに、その高濁度層を形成する全粒径濃度に占める細粒分100 µm以下成分の割合が増加すること、厚さ10-100 mの海底境界層が頻繁に形成されること、粒子濃度が海底境界層の外側で内側と比べて顕著に減少する様子が頻繁に観測された。観測結果の形成過程の理解を目的として、潮流起源の海底境界層過程に関する鉛直1次元の数値実験を行ったところ、海底乱流過程と懸濁粒子濃度分布の密接な関連性を確認した。以上の結果は,海底混合層厚やその背景物理過程としての海底乱流過程の変動が懸濁粒子の濃度分布を決定する重要因子の一部であることを指摘するものである。