17:15 〜 18:30
[MZZ44-P02] 原発震災裁判における地球科学的証拠の認定2—「国の責任」なしは科学的か
キーワード:東京電力原発刑事裁判、原発賠償民事訴訟、津波予見可能性、蓋然性、トランスサイエンス論批判
原発賠償民事裁判,東京電力経営陣刑事裁判における地球科学的証拠の検討のされ方を昨2020年度大会に続き検証する。
東電刑事裁判判決(2019年9月19日東京地裁)では,経営陣が津波可能性を認識(予見)していた事実が認定されたといってよい。しかし,地震本部の長期評価は根拠が弱く信頼できないとし,東京地裁は経営陣を無罪とした。地震本部の長期評価に被せられた「信頼度」は,科学的にみれば津波地震の蓋然性を否定できる性質の概念ではない。日本政府も加盟するIAEAの基準からみても,年当たり1万分の1あるいは10万分の1以下にする過酷事故防止の基準=科学技術的な原則からみても「想定外」にはできなかった。高い蓋然性に目をつぶり,対策を否定する理屈のために,苦し紛れに「信頼度」がでてきたのだと考えられる。
原発賠償民事裁判判決と比較しながら,「信頼度」をめぐる議論,東電の科学技術的原則からはずれた判断を容認した「国の責任」の有無の判断を地球科学的に検討する。
2021年2月24日追記
以下は,原発賠償千葉訴訟東京高裁判決(2021年2月19日)要旨のポイント引用である(強調は発表者による)。関連部分を画像でも示してある。
・長期評価について,平成15年(2003年:発表者追記)3月24日に地震本部により公表された信頼度の評価では,「発生領域の評価」「発生確率の評価」の信頼度が「やや低い(C)」とされているが,これは過去の地震データが少ないことによるものであり,長期評価の基礎となっている科学的知見の信頼性が低いことを理由とするものではない。
・長期評価に示された見解については,相応の科学的信頼性のある知見であると評価することができ,津波評価技術と比較しても,その科学的信頼性において,優位とはいえないまでも,同等であるというべきである。
関連発表資料
東電刑事裁判地裁判決における科学コミュニケーション問題
http://hdl.handle.net/10110/00019911
なぜ宮城県は二度の巨大歴史津波(869貞観,1611慶長)を対策から外してしまったのか—情報開示された2010年夏「第4次地震被害想定調査」打合せ記録簿から浮かび上がる被害拡大要因
http://hdl.handle.net/10110/00019753
東電刑事裁判判決(2019年9月19日東京地裁)では,経営陣が津波可能性を認識(予見)していた事実が認定されたといってよい。しかし,地震本部の長期評価は根拠が弱く信頼できないとし,東京地裁は経営陣を無罪とした。地震本部の長期評価に被せられた「信頼度」は,科学的にみれば津波地震の蓋然性を否定できる性質の概念ではない。日本政府も加盟するIAEAの基準からみても,年当たり1万分の1あるいは10万分の1以下にする過酷事故防止の基準=科学技術的な原則からみても「想定外」にはできなかった。高い蓋然性に目をつぶり,対策を否定する理屈のために,苦し紛れに「信頼度」がでてきたのだと考えられる。
原発賠償民事裁判判決と比較しながら,「信頼度」をめぐる議論,東電の科学技術的原則からはずれた判断を容認した「国の責任」の有無の判断を地球科学的に検討する。
2021年2月24日追記
以下は,原発賠償千葉訴訟東京高裁判決(2021年2月19日)要旨のポイント引用である(強調は発表者による)。関連部分を画像でも示してある。
・長期評価について,平成15年(2003年:発表者追記)3月24日に地震本部により公表された信頼度の評価では,「発生領域の評価」「発生確率の評価」の信頼度が「やや低い(C)」とされているが,これは過去の地震データが少ないことによるものであり,長期評価の基礎となっている科学的知見の信頼性が低いことを理由とするものではない。
・長期評価に示された見解については,相応の科学的信頼性のある知見であると評価することができ,津波評価技術と比較しても,その科学的信頼性において,優位とはいえないまでも,同等であるというべきである。
関連発表資料
東電刑事裁判地裁判決における科学コミュニケーション問題
http://hdl.handle.net/10110/00019911
なぜ宮城県は二度の巨大歴史津波(869貞観,1611慶長)を対策から外してしまったのか—情報開示された2010年夏「第4次地震被害想定調査」打合せ記録簿から浮かび上がる被害拡大要因
http://hdl.handle.net/10110/00019753