日本地球惑星科学連合2021年大会

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[O-02] 自然災害と人 ~ジオパークで地球の声に耳を澄ます~

2021年6月6日(日) 17:15 〜 18:30 Ch.02

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(糸魚川市役所)、横山 光(北翔大学)

17:15 〜 18:30

[O02-P26] 電気伝導度で阿蘇ジオパークの水を教える教育プログラム(2)
南阿蘇湧水群に関する高森高校との共同研究

*鍵山 恒臣1、永田 絋樹2、前田 敏和3、武内 優登3、渡邊 青希3、井上 梢3 (1.阿蘇ジオパーク推進協議会、2.阿蘇火山博物館、3.高森高等学校)

キーワード:阿蘇ユネスコ世界ジオパーク、湧水、電気伝導度

阿蘇ユネスコ世界ジオパークを構成する重要な用件の一つに豊かな湧水があげられる。豊かな湧水がどのよ
うに育まれているか?阿蘇火山とどのような関連があるのか?そしてこの湧水が地域の人々によってどのように利用されてきたのか?このような疑問や理解、湧水に関する関心を地域社会の中で高めていくことがジオパーク活動の目標の1つである。こうした観点から昨年度に続き、湧水に関する普及活動として、熊本県立高森高等学校との共同研究をおこなったので報告する。
 阿蘇カルデラの南部、南郷谷には熊本県名水100選に選ばれている湧水が12ヶ所あり、南阿蘇湧水群と呼ばれている。これらの湧水の水を生徒自らが採取し、教室において電気伝導度を測定した。その結果、高森湧水トンネルの湧水などが12 mS/m 程度、大部分の湧水で 23 mS/m、小池水源など中央火口丘近傍で 30mS/m 程度となることがわかった。阿蘇ジオパークに湧く湧水には3種類あることがすでに明らかとなっていたが(カルデラ外輪山周辺に湧く10 mS/m程度の湧水、中央火口丘山麓に湧く30 mS/m程度の湧水、温泉水として湧く数100 mS/mの水)、南阿蘇の湧水は阿蘇谷の湧水に比べて電気伝導度の高い湧水群のしめる面積が相対的に狭いことが明らかとなった。
 こうした電気伝導度の分布を見ると、やや電気伝導度の高い湧水付近ではパン屋が多く、電気伝導度の低い湧水の近傍には酒造メーカーがあることがわかった。パンの製造には電気伝導度のやや高い(中硬水に相当)水が適していることが反映されていると思われる。さらに、実際に水の電気伝導度の違いによってコーヒーの味にどのような違いが出てくるかについての実験もおこなった。
 こうした取り組みは今年度始めたもので、今後も高校と協力することで大きな成果となることがわかった。この取り組みは、「令和2年度熊本県広域連携プロジェクト(スクラムチャレンジ)推進補助金」を活用して行いました。