13:45 〜 15:15
[O07-P28] 三陸ジオパークとSDGs 種市層ウニ増殖溝
キーワード:ジオパーク、三陸ジオパーク北部エリア、種市層、地域活動、科学クラブ
三陸ジオパークは、青森県から宮城県にかけての太平洋岸に、南北約300㎞の海岸線をもち、118のジオサイトが設定されている。マリエント「ちきゅう」たんけんクラブ・シニアの属する八戸市水産科学館マリエントはその北端部にある。
岩手県九戸郡洋野町に位置する三陸ジオパークのジオサイト種市海浜公園とウニ増殖溝(図1)を構成する種市層は、岩手県北部の太平洋岸に分布する上部白亜系-古第三系の浅海性堆積層で,海岸部に南北に狭く分布している。ノジュールを含む砂岩の露頭など複雑な海岸地形を形成している。ウニ増殖溝は,種市層の地質的特徴を利用して1975年頃に造成され,本州一のウニ水揚げに貢献している。
筆者らは、2020JpGUで『三陸ジオパーク北部エリアの検討とジオの魅力を高め変動帯をわかりやすく伝える「ジオ紙芝居」の提案3』として発表し、新たな観光的視点と観光スポットについて提案した。
2021年は、新型コロナウイルス(COVID-19)による制限で巡検は実施できなかったが、三陸ジオパーク認定ガイドの講義を受け、ジオサイトウニ増殖溝にSDGsの観点で再検討を加えた。
「持続可能な開発目標」であるSDGsの達成は現在、社会と個人が分野で取り組み、推進していかなければならない課題となっている。ジオパーク活動はSDGsとの係わりが深く、ユネスコ世界ジオパークは、2017年にジオパークが貢献できるSDGsの8個のターゲットについて発表している。高等学校でも広く、探究学習を中心としてSDGsに関する学習が進められている。
2020年からの継続を受け検討した結果、以下の事がわかった。洋野町では「南部もぐり」が、水深約20mに潜水して採取したウニを増殖溝に移している。沖にむかって掘った増殖溝には、常に新鮮な海水が循環している。増殖溝は潮間帯にあるため、海藻が豊富に繁茂している。危険な潜水によるウニ取りが、増殖溝により海の状態に影響されず安全に作業できること、である。これらは、SDGsターゲット14(海の豊かさも守ろう)とターゲット2(飢餓をゼロに)にかかわると考えられた。
また、現状の問題点として,海水温の上昇や磯焼け等でウニ収量の減少と質の低下があった。県や町では、シンポジウムを開くなどして解決策を模索している。筆者らは、種市層の地質的特徴を生かす増殖溝のあり方についてSDGsのターゲット12(つくる責任つかう責任)の観点で検討し、生産量の制限も視野に入れたターゲット11(住み続けられるまちづくりを)の観点で持続可能な漁業を考える必要があるのではないかと考えた。
これを元に、ジオ紙芝居のテーマを「ウニは何を食べている?」「増殖溝はなぜコンブが繁る?」(図2)、「南部もぐりと増殖溝の関係」、「種市層とウニ増殖溝」とし、分担して作成した。原画や説明は、以前に作成した物を参考にし、会員内で実演して何度も訂正を繰り返して作成した。
ただし4月15日時点で、新型コロナウイルス(COVID-19)への配慮により公開は会員のみにとどまっている。昨年に引き続き、ジオ紙芝居を元に観察ルートの設定やガイドブックの作成も継続している。
この活動を通じて、私たちは今も動いている大地に暮らし、その恵みを受けていることが理解できた。
ジオサイト種市海浜公園のウニ増殖溝をSDGsの視点で見ることによって先人の知恵を学び、持続可能な開発を提案したい。また、この考えをジオ紙芝居を使って多くの人に伝えていきたい。
謝辞
この研究にあたり、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、八戸市、八戸市教育委員会、洋野町、国立研究開発法人海洋研究開発機構研究成果活用促進八戸市議会議員連盟、会員の所属する各高等学校はじめ多くの方々からご指導とご協力をいただいた。記してここに謝意を表する。
岩手県九戸郡洋野町に位置する三陸ジオパークのジオサイト種市海浜公園とウニ増殖溝(図1)を構成する種市層は、岩手県北部の太平洋岸に分布する上部白亜系-古第三系の浅海性堆積層で,海岸部に南北に狭く分布している。ノジュールを含む砂岩の露頭など複雑な海岸地形を形成している。ウニ増殖溝は,種市層の地質的特徴を利用して1975年頃に造成され,本州一のウニ水揚げに貢献している。
筆者らは、2020JpGUで『三陸ジオパーク北部エリアの検討とジオの魅力を高め変動帯をわかりやすく伝える「ジオ紙芝居」の提案3』として発表し、新たな観光的視点と観光スポットについて提案した。
2021年は、新型コロナウイルス(COVID-19)による制限で巡検は実施できなかったが、三陸ジオパーク認定ガイドの講義を受け、ジオサイトウニ増殖溝にSDGsの観点で再検討を加えた。
「持続可能な開発目標」であるSDGsの達成は現在、社会と個人が分野で取り組み、推進していかなければならない課題となっている。ジオパーク活動はSDGsとの係わりが深く、ユネスコ世界ジオパークは、2017年にジオパークが貢献できるSDGsの8個のターゲットについて発表している。高等学校でも広く、探究学習を中心としてSDGsに関する学習が進められている。
2020年からの継続を受け検討した結果、以下の事がわかった。洋野町では「南部もぐり」が、水深約20mに潜水して採取したウニを増殖溝に移している。沖にむかって掘った増殖溝には、常に新鮮な海水が循環している。増殖溝は潮間帯にあるため、海藻が豊富に繁茂している。危険な潜水によるウニ取りが、増殖溝により海の状態に影響されず安全に作業できること、である。これらは、SDGsターゲット14(海の豊かさも守ろう)とターゲット2(飢餓をゼロに)にかかわると考えられた。
また、現状の問題点として,海水温の上昇や磯焼け等でウニ収量の減少と質の低下があった。県や町では、シンポジウムを開くなどして解決策を模索している。筆者らは、種市層の地質的特徴を生かす増殖溝のあり方についてSDGsのターゲット12(つくる責任つかう責任)の観点で検討し、生産量の制限も視野に入れたターゲット11(住み続けられるまちづくりを)の観点で持続可能な漁業を考える必要があるのではないかと考えた。
これを元に、ジオ紙芝居のテーマを「ウニは何を食べている?」「増殖溝はなぜコンブが繁る?」(図2)、「南部もぐりと増殖溝の関係」、「種市層とウニ増殖溝」とし、分担して作成した。原画や説明は、以前に作成した物を参考にし、会員内で実演して何度も訂正を繰り返して作成した。
ただし4月15日時点で、新型コロナウイルス(COVID-19)への配慮により公開は会員のみにとどまっている。昨年に引き続き、ジオ紙芝居を元に観察ルートの設定やガイドブックの作成も継続している。
この活動を通じて、私たちは今も動いている大地に暮らし、その恵みを受けていることが理解できた。
ジオサイト種市海浜公園のウニ増殖溝をSDGsの視点で見ることによって先人の知恵を学び、持続可能な開発を提案したい。また、この考えをジオ紙芝居を使って多くの人に伝えていきたい。
謝辞
この研究にあたり、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、八戸市、八戸市教育委員会、洋野町、国立研究開発法人海洋研究開発機構研究成果活用促進八戸市議会議員連盟、会員の所属する各高等学校はじめ多くの方々からご指導とご協力をいただいた。記してここに謝意を表する。