日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG45] 海洋底地球科学

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.19

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)

17:15 〜 18:30

[SCG45-P09] 2018年9月〜2020年12月のOBEMを設置していた期間に、西之島周辺の海底で何が起こったのか?

*多田 訓子1、馬場 聖至2、富士原 敏也1、田村 芳彦1、金松 敏也1、吉田 健太1、高木 朗充3、前野 深2 (1.海洋研究開発機構 海域地震火山部門、2.東京大学地震研究所、3.気象庁)

キーワード:西之島、海底電位磁力計、ベクトル津波計、海底地形変化

小笠原諸島・西之島の周辺海域において、西之島火山のマグマ溜まりの推定と西之島火山を含む海洋島弧の電気伝導度構造の推定を目的とした電磁気観測を、海底電位磁力計(OBEM)とベクトル津波計(VTM)を使って2016年から実施してきた。2021年1月の時点で、のべ22台のOBEM/VTMを設置したが、2018年9月に設置した6台のOBEMの内2台、2019年6月に設置した5台のOBEM/VTMの内3台、計5台は機器を回収することが出来なかった。

2018年9月に設置し、2019年6月に回収できなかった2台のOBEMは、音響による錘の切り離し信号には正常に応答したにも関わらず、自己浮上しなかった。いずれのOBEMも設置時の位置からは数十m移動したことが判明しており、山体崩壊等によってOBEMの一部が埋まってしまった可能性が考えられる。2019年6月に設置し、2020年12月に自己浮上によって回収できた2台のVTMは、設置時の位置から3km前後も島から離れる方向に移動していたことが判明した。自己浮上できなかった5台のOBEM/VTMの内3台に関しては、2020年12月と2021年1月の航海で無人潜水艇による潜航調査を実施したが、発見することはできなかった。

潜航時の映像から、観測機器の移動および消失は、西之島の火山活動、特に2019年12月以降の非常に活発な火山活動(バイオレント・ストロンボリ式噴火; 栁澤ほか2020)が海底に何らかの影響を及ぼした結果であると考えている。我々はより定量的な議論をするために、2019年5月以前に取得された海底地形データと2020年12月および2021年1月に取得した海底地形データの解析を行っている。