09:15 〜 09:30
[SSS11-08] 強震動観測記録データベースに基づく地震ハザード評価における不確実さ考慮
キーワード:地震ハザード評価、不確実さ、強震動データベース、地震動予測式
地震ハザード評価において、地震動予測式に関する認識論的不確定性を適切に考慮するためには、観測記録の外挿領域への適用に対して多様な考え方に基づく地震動予測式の導出とそれらモデルの性能評価を行う枠組みの構築が必要である。森川・他(2020;JpGU)は、その基盤となる強震動観測記録データベースを試作した。
地震動予測式の性能評価を行うためには、モデルの導出において共通のデータベースを用いるだけでなく、地震や地盤に関して共通の条件下で地震動予測結果を算出できるようにする必要がある。本研究では、日本国内の地震ハザード評価に適用するという観点から、地震動予測式の性能評価対象となり得る適用条件を「仕様」の試案として作成した。その中では、断層最短距離が1km以内の震源断層ごく近傍サイトやマグニチュード9の超巨大地震まで適用することを条件に含めている。これら観測記録が十分に得られていない外挿のモデル化に関して、解析者の考え方を明示することとしている。この強震動データベース試作版と仕様の試案に基づいて、既往式の改良も含めた複数の地震動予測モデル構築への取り組みを開始している。
一方、震源断層ごく近傍や南海トラフ沿いの超巨大地震などに対する強震動予測結果について、観測記録に基づく検証を行うことは現状ではほぼ不可能である。このような強震動予測結果の信頼性を評価するための検討の第一歩として、強震動観測記録データベースにおける地震規模-断層最短距離空間を小領域に離散化し、各小領域に含まれる観測記録の地震動強さ分布を調べた。記録が多い小領域では対数正規分布に近くなるが、記録が少ない小領域では一様分布に近い。遠方や規模の小さな地震などの振幅の小さいところでは分布形状の歪みが見られるが、これにはトリガーレベルの違いが影響している可能性がある。今後さらに、記録の蓄積にともなう分布の時間変化についても分析を進める予定である。このようなデータベースそのものの特性分析は、観測記録の不十分さを表すだけではなく、シミュレーションデータの追加による分布の変化を見ることで、追加データの信頼性を評価する指標の策定につながるものである。
地震動予測式の性能評価を行うためには、モデルの導出において共通のデータベースを用いるだけでなく、地震や地盤に関して共通の条件下で地震動予測結果を算出できるようにする必要がある。本研究では、日本国内の地震ハザード評価に適用するという観点から、地震動予測式の性能評価対象となり得る適用条件を「仕様」の試案として作成した。その中では、断層最短距離が1km以内の震源断層ごく近傍サイトやマグニチュード9の超巨大地震まで適用することを条件に含めている。これら観測記録が十分に得られていない外挿のモデル化に関して、解析者の考え方を明示することとしている。この強震動データベース試作版と仕様の試案に基づいて、既往式の改良も含めた複数の地震動予測モデル構築への取り組みを開始している。
一方、震源断層ごく近傍や南海トラフ沿いの超巨大地震などに対する強震動予測結果について、観測記録に基づく検証を行うことは現状ではほぼ不可能である。このような強震動予測結果の信頼性を評価するための検討の第一歩として、強震動観測記録データベースにおける地震規模-断層最短距離空間を小領域に離散化し、各小領域に含まれる観測記録の地震動強さ分布を調べた。記録が多い小領域では対数正規分布に近くなるが、記録が少ない小領域では一様分布に近い。遠方や規模の小さな地震などの振幅の小さいところでは分布形状の歪みが見られるが、これにはトリガーレベルの違いが影響している可能性がある。今後さらに、記録の蓄積にともなう分布の時間変化についても分析を進める予定である。このようなデータベースそのものの特性分析は、観測記録の不十分さを表すだけではなく、シミュレーションデータの追加による分布の変化を見ることで、追加データの信頼性を評価する指標の策定につながるものである。