日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-02] 2011年東北地方太平洋沖地震から10年―地球科学の到達点

2021年5月31日(月) 13:45 〜 15:15 Ch.01 (Zoom会場01)

コンビーナ:日野 亮太(東北大学大学院理学研究科)、藤倉 克則(海洋研究開発機構 地球環境部門)、木戸 元之(東北大学 災害科学国際研究所)、座長:小平 秀一(海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、木戸 元之(東北大学 災害科学国際研究所)

14:39 〜 14:57

[U02-04] 福島第一原子力発電所事故による陸域の放射性セシウムの移行による環境回復とその要因

★招待講演

*恩田 裕一1 (1.筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)

キーワード:Cs-137、福島第一原子力発電所事故、河道輸送、吸着、下方移動

福島第一原子力発電所 (FDNPP) 事故は、チェルノブイリ原発事故以来最大量の放射性セシウムを陸上環境に放出した。本講演では、FDNPP事故の結果としての陸上環境における放射性核種、特に放射性セシウムの沈着と分布・移動について事故後10年間のモニタリング,研究成果をレビューする。事故後地表面へのCs-137の沈着後,上流域で水田,耕作や居住活動などの人為的活動は、河川ネットワークにおける浮遊土砂 (SS) 輸送のCs-137濃度の急速な低下をもたらし、これらの低下は河川水中の溶存Cs-137濃度を直接コントロールすることがわかった。これはチェルノブイリ後の定説(Fixationが濃度を支配する)とは異なる結果である。さらに,福島の事故の環境影響をチェルノブイリと比較し、チェルノブイリ周辺地域と比較して福島地域の比較的迅速な環境修復の要因と今後の課題について議論する。