日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS27] 大気電気学:気候変動に関連した大気電気現象

2022年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)、コンビーナ:長門 研吉(高知工業高等専門学校)、座長:長門 研吉(高知工業高等専門学校)、芳原 容英(電気通信大学 大学院情報理工学研究科)

14:15 〜 14:30

[MIS27-03] 北陸冬季雷で発生した地球ガンマ線フラッシュと同期する雷放電の長波帯観測による分類

*和田 有希1,2森本 健志3中村 佳敬4ウ ティン5榎戸 輝揚2中澤 知洋6牛尾 知雄1、湯浅 孝行、土屋 晴文7 (1.大阪大学、2.理化学研究所、3.近畿大学、4.神戸高専、5.岐阜大学、6.名古屋大学、7.日本原子力研究開発機構)

キーワード:地球ガンマ線フラッシュ、雷放電、高エネルギー大気物理学

雷放電と同期して発生する地球ガンマ線フラッシュ (terrestrial gamma-ray flash: TGF) は、これまでその大半が宇宙軌道上のガンマ線観測衛星によって検出されてきた。一方で事例は少ないものの、雷雲から地上に向かって下向きに放出されるTGFも地上で観測されるようになってきた。我々は石川県金沢市および新潟県柏崎市で4年間にわたって行ったガンマ線の地上観測により、合計7例のTGFを検出した。これらのTGFと同期した雷放電は富山県内に設置された広帯域長波帯 (LF) モニターで波形記録がされている。7例のうち4例は100 kA未満の負極性のLFパルスに先行しており、ステップトリーダーの進展中にTGFが発生したと考えられる。さらにこの4例のうち3例は数ミリ秒間隔でガンマ線が複数回放射されるマルチパルスTGFであった。残りの3例はピーク電流が100 kA以上の負極性のLFパルスと同期しており、Wuら (GRL, 2021) の報告によればリーダーの進展時間が非常に短い対地雷のリターンストロークである可能性が高い。またこれら3例は全てガンマ線の放射回数が1回のシングルパルスTGFであった。以上のように本研究で観測されたTGFと同期する雷放電は2つの種類に分類できることが明らかとなった。