日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG24] 圏外環境における閉鎖生態系と生物システムおよびその応用

2024年5月26日(日) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:加藤 浩(三重大学 研究基盤推進機構 先端科学研究支援センター)、安部 智子(東京電機大学理工学部)、篠原 正典(帝京科学大学)

17:15 〜 18:45

[HCG24-P02] 乾燥耐性を有するシアノバクテリア Nostoc sp. HK-01 の乾燥および蘇生過程における遺伝子発現解析

*柴﨑 健豪1加藤 浩2横谷 香織3安部 智子1 (1.東京電機大院・理工、2.三重大・研究基盤、3.筑波大・生命環境)

キーワード:シアノバクテリア、乾燥耐性

 Nostoc sp. HK-01 は、陸棲シアノバクテリアの中でも特に高い乾燥耐性を備える株として単離された。本株は乾燥状態で極めて高い過酷環境耐性を示すことが報告されており1)、宇宙閉鎖空間での物質循環システムや食資源への本株の利用が期待されている。地球圏外の閉鎖生態系に有用な生物を導入する場合、宇宙空間での運搬による長期保存を想定する必要があり、高い過酷環境耐性を備えた乾燥細胞の調製法の確立が必要となる。安定した乾燥細胞を調製するための情報を得るため、本菌株の乾燥状態を経る生活環のなかで特異的に誘導される遺伝子あるいは遺伝子群、およびその遺伝子産物についての解析を進めている。本研究では、湿潤から乾燥状態、乾燥から湿潤状態への移行過程において発現変動する遺伝子群およびタンパク質について解析した。
 光照射下において BG-11 液体培地で培養した Nostoc sp. HK-01 の細胞群を、暗所下、デシケーター内で徐々に乾燥させ、経時的に採取した。また、完全乾燥後あるいは半乾燥状態の細胞群を再びBG-11 液体培地で培養し、経時的に採取した。採取した細胞群からタンパク質あるいはRNAを抽出し、解析した。湿潤から乾燥状態、乾燥から湿潤状態への移行過程において発現量が特異的に変動する遺伝子を探索した結果、糖の合成に関与する遺伝子やヒートショックプロテイン遺伝子、いくつかの機能未知の遺伝子が検出された。

参考文献:
1. Tomita-Yokotani, K. et al., Astrobiology 21, 1506-1514, 2021.