日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ41] 地球科学の科学史・科学哲学・科学技術社会論

2024年5月26日(日) 13:45 〜 15:00 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:矢島 道子(東京都立大学)、青木 滋之(中央大学文学部)、山田 俊弘(大正大学)、山本 哲、座長:矢島 道子(東京都立大学)、山田 俊弘(大正大学)

14:30 〜 14:45

[MZZ41-04] 高度科学技術社会における教養(リベラルアーツ)としての地学教育の可能性

*栃内 文彦1 (1.金沢工業大学)

キーワード:地学教育、科学技術リテラシー

今日の社会は科学技術に高度に依存している.したがって,「文系」「理系」を問わず,人々は科学技術について一定のリテラシーを有することが求められる.しかし,日本の高校教育の現状は,そのようなリテラシーの涵養をむしろ阻害しているのではないだろうか.
大学進学においては,高校2年生ごろに「文理選択」があって「文系クラス」「理系クラス」に分かれ,大学受験に必要か否かの観点から特定の科目や内容に特化した受験勉強をすることになり,結果として,文系の場合は理科や数学をあまり学ばず,理系の場合はその逆ということが多い.
「文系」と「理系」の断絶が社会の発展を阻害する恐れがある,といち早く警告したのはC. P. スノーである.科学技術が社会を支えると同時に人類や社会の存続に関わる様々な課題をももたらしている今日において,両者の断絶は,科学技術によってもたらされた諸課題への取り組みを阻害するものであり,解消しなければならない.
身の回りの様々な自然現象を対象とする地学教育は,両者の断絶の解消に資する可能性を有しているのではないだろうか.本発表では,科学技術社会における教養としての地学教育の可能性について検討したい.