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[MZZ42-03] 深海曳航カメラFDCによる北西太平洋の平頂海山におけるメガベントス群集の群集特性評価
キーワード:海山、メガベントス、深海生態系
独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、2014年に国際海底機構(ISA)とコバルトリッチクラストの探査契約を締結し、この契約により、南鳥島東南方の公海域に位置する国際鉱区に排他的探査権が設定された。JOGMECの国際鉱区が分布する海山の平頂部におけるメガベントス群集の分布を、ファインダー付深海曳航カメラ(FDC)システムの画像により評価した。曳航高度は海底から2~3 mである。海山における深海性メガベントスの多様性を評価するために、合計12,000個体(群体)以上のメガベントス(測線長約109 km)を観察し、43の形態型に分類した。メガベントスの分布密度は総じて小さく、この海域の表層における一次生産量が小さいことに対応すると考えられる。合わせて、ROVを使ったメガベントスの調査も実施され、興味深いことに、ヤギ類とカイメン類が、Zhinyu、Maloney、Scrippsの各平頂海山のROV測線にて、高密度に分布している場所が見つかった。これらのいわゆる「coral garden」や「sponge ground」と呼ばれる場所は、海山の平頂部に分布する小さな小山の頂上部で見つかった。これらの小山は、直径約1~2 kmで、周囲の海山頂上からの比高は、200~300 mであった。海山の頂上における生物の高密度分布は、過去の文献でも報告されており、局所的な潮流速度の増加が、主に濾過食性であるメガベントスの高密度分布の一因となっている可能性がある。