17:15 〜 18:45
[SVC26-P15] 連続GNSS観測データを用いた三宅島火山の地殻変動とその圧力源の推定
キーワード：三宅島火山、茂木モデル、水平板状圧力源（シル）
1． はじめに
これまで約20年周期で噴火を繰り返してきた三宅島は， 前回2000年の噴火から23年が経過し，次の噴火が危惧されている．渡部ほか（2021 JpGU SVC28-P09）では2011年から2019年に6回の実施された稠密なGNSSキャンペーン観測の結果と三宅島島内の水準測量結果から，三宅島火口から南西約2.5 km・深さ9.0 kmの球状膨張圧力源と，三宅島火口直下・深さ0.3 kmの水平板状シルの収縮が推定されている．本研究では，三宅島にある連続GNSS観測点の座標値から最近の三宅島の地殻変動量を求めるとともに，地下の圧力源の推定を行う．
2． 研究内容
現在三宅島では国土地理院（4 点）， 気象庁（5点）， 防災科学技術研究所（5 点）の連続GNSS観測が行われており，そのデータを防災科学技術研究所がBernese GNSS Software 5.2を用いて解析して，JVGN にて公開している．本研究ではこの解析解を用いており，データ使用期間は，先行研究 (渡部, 他. 2021 ) で解析が行われた期間を含む 2013 年1月1日～ 2023年12月31日とした． データに関しては， アンテナ交換によるオフセット期間や季節変動などの影響を考慮し，トレンド除去を行ったのち， 各解析に用いた．まず初めに，各観測点の座標値を用いて基線長を求めた．さらに求めた基線長について，観測開始日である2013年1月1日を基準とし，そこからの基線長の変化を求めることで，時間経過に伴う基線長の伸び縮みを調べた．次に，それぞれの観測点について各年の標高の平均をグラフにプロットし，その変化を調べた． 最後に，観測された変位を十分に説明できる三宅島地下の圧力源推定を行った．本研究における圧力源推定には， 浅部での有限の大きさを持つ圧力源の変化を比較的正確に推定できる地殻変動源推定ソフトウェア pydeform (Munekane et al.,2016) を用いた．
3． 結果と考察
基線長変化は，過去11年間でどの観測点においても基線長の伸びが確認された．また，各年の標高の平均をプロットした結果， 最大で20 cm 程度の上昇が見られた．これらの地殻変動データをもとに圧力源の推定を行ったところ，球状圧力源および水平板状のシルが推定された．このモデルは，先行研究（渡部, 他. 2021 JpGU SVC28-P09）で推定された圧力源モデルと一致する結果となった．体積変化量については，球状圧力源で膨張が見られた．このことから，前回の2000年噴火以降，三宅島地下において継続的にマグマが供給されていることが分かった．
4． おわりに
噴火準備段階にあるとして注目されている三宅島火山において，防災科学技術研究所がJVGN にて公開している国土地理院，気象庁，防災科学技術研究所の過去11年間の連続GNSS観測データを解析し，地殻変動およびその圧力源を推定した．その結果，島の中心部から放射状に広がるような変位が見られ，さらに球状圧力源および水平板状圧力源の2つの圧力源モデルが推定された．このことから，前回の2000年噴火以降，現在もなお継続的にマグマが供給されていることが分かった．
2024年9月には5年ぶりに稠密GNSSキャンペーン観測を実施する計画であり，今後はそのデータも使用し，より詳しい地殻変動量をもとめ，さらに正確な地下圧力源モデルを推定する予定である．
謝辞：本研究では国土地理院， 気象庁， 防災科学技術研究所が観測したGNSS点データを防災科学技術研究所が解析した座標値をJVGNから提供していただいた．
地殻変動源解析には，Munekane et al.（2016）が開発した pydeform を使わせていただいた．ここに記して感謝する．
これまで約20年周期で噴火を繰り返してきた三宅島は， 前回2000年の噴火から23年が経過し，次の噴火が危惧されている．渡部ほか（2021 JpGU SVC28-P09）では2011年から2019年に6回の実施された稠密なGNSSキャンペーン観測の結果と三宅島島内の水準測量結果から，三宅島火口から南西約2.5 km・深さ9.0 kmの球状膨張圧力源と，三宅島火口直下・深さ0.3 kmの水平板状シルの収縮が推定されている．本研究では，三宅島にある連続GNSS観測点の座標値から最近の三宅島の地殻変動量を求めるとともに，地下の圧力源の推定を行う．
2． 研究内容
現在三宅島では国土地理院（4 点）， 気象庁（5点）， 防災科学技術研究所（5 点）の連続GNSS観測が行われており，そのデータを防災科学技術研究所がBernese GNSS Software 5.2を用いて解析して，JVGN にて公開している．本研究ではこの解析解を用いており，データ使用期間は，先行研究 (渡部, 他. 2021 ) で解析が行われた期間を含む 2013 年1月1日～ 2023年12月31日とした． データに関しては， アンテナ交換によるオフセット期間や季節変動などの影響を考慮し，トレンド除去を行ったのち， 各解析に用いた．まず初めに，各観測点の座標値を用いて基線長を求めた．さらに求めた基線長について，観測開始日である2013年1月1日を基準とし，そこからの基線長の変化を求めることで，時間経過に伴う基線長の伸び縮みを調べた．次に，それぞれの観測点について各年の標高の平均をグラフにプロットし，その変化を調べた． 最後に，観測された変位を十分に説明できる三宅島地下の圧力源推定を行った．本研究における圧力源推定には， 浅部での有限の大きさを持つ圧力源の変化を比較的正確に推定できる地殻変動源推定ソフトウェア pydeform (Munekane et al.,2016) を用いた．
3． 結果と考察
基線長変化は，過去11年間でどの観測点においても基線長の伸びが確認された．また，各年の標高の平均をプロットした結果， 最大で20 cm 程度の上昇が見られた．これらの地殻変動データをもとに圧力源の推定を行ったところ，球状圧力源および水平板状のシルが推定された．このモデルは，先行研究（渡部, 他. 2021 JpGU SVC28-P09）で推定された圧力源モデルと一致する結果となった．体積変化量については，球状圧力源で膨張が見られた．このことから，前回の2000年噴火以降，三宅島地下において継続的にマグマが供給されていることが分かった．
4． おわりに
噴火準備段階にあるとして注目されている三宅島火山において，防災科学技術研究所がJVGN にて公開している国土地理院，気象庁，防災科学技術研究所の過去11年間の連続GNSS観測データを解析し，地殻変動およびその圧力源を推定した．その結果，島の中心部から放射状に広がるような変位が見られ，さらに球状圧力源および水平板状圧力源の2つの圧力源モデルが推定された．このことから，前回の2000年噴火以降，現在もなお継続的にマグマが供給されていることが分かった．
2024年9月には5年ぶりに稠密GNSSキャンペーン観測を実施する計画であり，今後はそのデータも使用し，より詳しい地殻変動量をもとめ，さらに正確な地下圧力源モデルを推定する予定である．
謝辞：本研究では国土地理院， 気象庁， 防災科学技術研究所が観測したGNSS点データを防災科学技術研究所が解析した座標値をJVGNから提供していただいた．
地殻変動源解析には，Munekane et al.（2016）が開発した pydeform を使わせていただいた．ここに記して感謝する．