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[SVC31-14] 浅間前掛火山12世紀噴火の推移と噴火様式
キーワード:浅間火山、噴火様式、12世紀噴火、噴泉崩壊
1783 年の噴火は、浅間前掛火山における最新の大規模噴火である。多くの史料が残されているため、噴火順序を復元する際、古文書の解析から層序に時間軸を含めることが可能である。一方、12 世紀の噴火については、重大な災害をもたらした大規模な噴火があったという記録1 件しかなく、史料は噴火推移の再現には役立たない。1108 年の噴火の特徴は、降下火砕物と火砕流堆積物の噴火単位が多いことである。 多数の噴火単位の噴出物は火口周囲のほぼ全方位に分布しているため、全体の層序関係を把握することは非常に困難である。 しかし、得られた多くの地質学的事実は、12 世紀の噴火推移と噴火様式を推定するのに役立つ。 特に、Aramaki(1963)によって中間型火砕流として知られる追分火砕流堆積物が広く分布しており、地表のローブ地形を含む多数の流れユニットが認められる。これらと降下火砕堆積物(As-B)との層序関係を調べると、12世紀初頭には多くの噴火が長期にわたって継続し、その噴火推移は1783年の噴火よりもはるかに複雑であったことが示唆される。追分火砕流堆積物に含まれるブロックは、複数のブロックからなるのが特徴である。レッドアッシュと呼ばれる降下火山灰層の存在も特徴的である。レッドアッシュは 60 を超える降下単位で構成される。レッドアッシュの各層は、粗い角張った岩片と細かい褐色ガラスからなるバイモーダルな粒径分布を示す。褐色ガラスは追分火砕流堆積物の基質火山灰と同質であり、灰かぐらであると考えられる。これらの観察事実の解釈として、ブルカノ式の爆発と噴泉崩壊を繰り返して火砕流を発生させる噴火様式を考えた。ここではこの噴火様式を「浅間式噴火」と呼びたい。フェーズ1のブルカノ式の爆発の後、急激な減圧とマグマの破砕により火道内でマグマの破片(火砕物)が生じる。何らかの理由で、マグマの破片が火道内の噴霧流の中で合体し始める。フェーズ 2 では、噴泉が崩壊し、終端速度の高い粗い複合ブロックがクレーター内に選択的に堆積し、火砕流から分離する。フェーズ 3 の短い休止期間中に、クレーターを埋めるブロックが互いに強く溶結し、一種のプラグが形成される。新たにマグマが上昇してくると、このプラグの下で圧力が高まり、次の爆発が発生する (フェーズ 1)。 レッドアッシュは60層以上あることから、同じサイクルを何度も繰り返したと考えられる。この描像から、ブルカノ式の爆発による粗い岩片層の降下・堆積の直後に、火砕流由来の細かい灰かぐら火山灰が堆積したとすると、レッドアッシュの個々の層のバイモーダルな粒径分布が得られると考えられる。実際に粗い岩片と細かい褐色ガラス粒子がレッドアッシュの個々の層に混在している点とも調和する。
最後に18 世紀の噴火と 12 世紀の噴火の違いについて考える。12世紀では18 世紀に比べて噴出したマグマの総量は多く、噴火様式や順序も異なり、複雑な活動が長期間続いたと考えられる。特に18 世紀噴火と異なる点はレッドアッシュの存在である。18 世紀の噴火では、火砕流の大半は半日以内に発生したとみられる。対照的に12 世紀には、大規模なブルカノ式の爆発を伴う火砕流が数年以上の長期にわたって断続的に発生したと考えられる。また、その後にマグマ組成の異なる As-B' の噴火が続いたことも注目に値する。
最後に18 世紀の噴火と 12 世紀の噴火の違いについて考える。12世紀では18 世紀に比べて噴出したマグマの総量は多く、噴火様式や順序も異なり、複雑な活動が長期間続いたと考えられる。特に18 世紀噴火と異なる点はレッドアッシュの存在である。18 世紀の噴火では、火砕流の大半は半日以内に発生したとみられる。対照的に12 世紀には、大規模なブルカノ式の爆発を伴う火砕流が数年以上の長期にわたって断続的に発生したと考えられる。また、その後にマグマ組成の異なる As-B' の噴火が続いたことも注目に値する。