日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-ZZ その他

[M-ZZ45] ジオパークとサステナビリティ(ポスター)

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、郡山 鈴夏(フォッサマグナミュージアム)、佐野 恭平(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、土井 恵治(土佐清水ジオパーク推進協議会)

17:15 〜 19:15

[MZZ45-P06] 今求められている防災教育とは? −おおいた豊後大野ジオパークを活用した地域防災学習

釘宮 泰代2、*吉岡 敏和1 (1.おおいた豊後大野ジオパーク推進協議会、2.菅尾小学校)

キーワード:おおいた豊後大野ジオパーク、防災教育、菅尾小学校、水霊石

取組概要
 今求められている防災教育とは何だろうか.それは単なる知識の伝達ではなく,実際の災害時に対応できる実践的な力を養うことではないかと捉えた.そこで,大分県豊後大野市立菅尾小学校では,第5,6学年の「総合的な学習の時間」において,自分にできることを主体的に考え他者と協働し,安心・安全に日常生活を送る地域住民の一人としての意識や態度の育成を図ることを目的に,年間を通じて防災学習に取り組んだ.市内の防災士やジオパーク専門員,行政職員,民間I T企業等の外部人材の活用を行い,各教科を横断させながら年間を通じて実践を行った.

実践① 島原半島ジオパーク・阿蘇ジオパークとの交流
 修学旅行の事前学習として,島原半島ジオパーク専門員と「火山災害と復興」をテーマにリモート学習を行った.34年前の雲仙普賢岳の大火砕流について学び,災害や復興から学ばなくてはならない多くの教訓について話を聞いた.
 阿蘇ジオパークとの交流では,熊本地震について現地で学んだ.熊本地震震災ミュージアムKIOKUでは,震度7の揺れが発生した地震のメカニズムや活断層の仕組みを知ることで,地形や地質と関連づけながら,自分ごととして防災・減災について考えることができた.

実践② デジタル防災マップの作成
校区の危険箇所をくまなく調査し,それらを活用してデジタル防災マップを作成した.作成方法は,まず菅尾防災まち歩きを行い,危険箇所の場所や理由などをタブレット端末に写真や文字で整理した.それからscratchというアプリでプログラミングし,校区のデジタル防災マップを完成させた.理科で学んだ「土地のつくりと変化(礫・砂・泥・ 火山灰)」や「流れる水のはたらき(侵食・堆積・運搬)」と,これまでのジオ学習で学んだ豊後大野市の大地の特徴を関連づけて考える機会となった. 完成した防災マップは,家庭や地域へ広げ活用している.

実践③ 「水霊石(みずたまいし)」の調査研究及び災害にまつわる口伝の伝承
 校区には「水霊石が落ちると宇対瀬地区は泥水に流される」という災害にまつわる口伝が伝わる「水霊石」がある.この石について,地質的な面をおおいた豊後大野ジオパーク専門員から,防災面を大分大学減災・復興デザイン教育センターから話を聞いた.阿蘇4火砕流堆積物からなる「水霊石」が,約30m下の阿蘇3火砕流堆積物の層が分布する高さまで落下していることから,はるか昔に地震や大雨などの自然災害で落下したものと推測されるとのこと.石が落下するような大雨には洪水を警戒すべきだという先人の知恵を,未来の命を守る実践的な知識として生かすことが口伝を伝承する最大の目的であると考え,取組を進めた.これらのフィールドワークでの学びをもとに,子供たちはICTを活用し「水霊石のうた」を作詞・作曲した.伝承と先端技術を融合させ「地質学×音楽」という新しい方法で,保護者や地域へ防災を呼びかけている.