日本地球惑星科学連合2025年大会

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[O-11] 高校生ポスター発表

2025年5月25日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)、鈴木 智恵子(海洋研究開発機構)、中西 諒(国立研究開発法人産業技術総合研究所)


13:45 〜 15:15

[O11-P56] 栗駒山麓ジオパークに位置するクロスラミナ露頭解析による古環境の復元

*高木 瑚太郎1 (1.宮城県仙台第三高等学校)

キーワード:クロスラミナ、古流向、ジオパーク

背景と目的
宮城県栗原市には日本ジオパークの一つである栗駒山麓ジオパークがある。当ジオパークでは平成20年に起きた岩手・宮城内陸地震による山地災害や河川の氾濫、冷害など、かつてそこで起こった数々の災害を後世に伝える活動を行っている。
そして当ジオパークにおいてとても特徴的なクロスラミナ構造が発達した露頭が確認できる。しかし本地域についての研究例がほとんど無く成因や堆積環境について不明な点が多いため、ジオサイトとしての価値が明確にされていない。そこで本研究では本露頭の成因・堆積環境を復元し、露頭の学術的価値を明らかにすることを目的として研究を行っている。
本露頭は松野(1967)によると下黒沢層と定義され、凝灰角礫岩を含む砂岩層とされている。形成年代は新生代新第三紀中新世後期ランギアン期〜トートニアン期(15Ma〜7Ma頃)とされる。平朝彦(2020)によるとこの頃の日本列島は現在のユーラシア大陸から分離し徐々に現在の日本列島の形に近づいている。この時、当露頭の位置する東北日本は構成するたくさんの島が徐々に土地の隆起や海底火山の噴火などによって一つの大きな島になりはじめている。

データおよび解析方法
野外観察による卓越方向の調査、露頭中複数個所におけるサンプルの採取、顕微鏡での観察を行った。ラミナの走向傾斜の測定・ステレオネットへの投影を行った。ステレオネットへの投影では、それぞれの葉理の底面と斜面のデータからラミナのクロスセクションを求めることでローズダイアグラムを作成した。

結果
サンプルの顕微鏡観察の結果、一部に火山ガラスや長石は見られたものの構成粒子のほとんどを白色で軽石質の岩片が占めており、構成粒子は種類に乏しい。ただし、目視観察によって露頭の中に非火山性とみられる砂で構成されたラミナが確認されている。また、走向傾斜データのステレオネット投影では、南西から北東に向かう流れが推定された。これは当時の地形(平, 2020)と矛盾しない。

考察
構成粒子の多くを占める白く角ばった岩片はその見た目から珪長質の火山噴出物であると推測した。且つ、石英に比べて化学的風化や機械的破壊に耐性のない(佐野, 2019)長石もわずかに含まれることから、これらの構成粒子は比較的近辺から運ばれてきたと考えられる。
露頭の構成粒子の種類は乏しいことから、同一の供給源が示唆され、可能性として火山活動が考えられる。また、ステレオネットでの分析によって南西から北東に向かう流れが示唆されており、この流れによって当露頭が形成されたとすると、構成粒子は露頭の南西方向から運搬されてきたと考えられる。以上のことから供給源の火山は露頭の南西方向に存在する比較的近傍の珪長質の海底火山であると推定した。露頭の南西方向には地質図幅 (大沢ほか, 1988) によると露頭の形成年代と近い年代の珪長質の溶岩や火砕岩の存在が示されており、当露頭の火山の供給源と考えられる。
 古流向が南西から北東に向かうと推定されたことから、露頭の形成に関与した流れに平行な向きからクロスラミナの構造を見ている。このことから当露頭のクロスラミナ構造はトラフ状斜交葉理の形態を示しており、これは比較的早い流速下において形成される構造であることから、比較的高速の海流の存在が示唆される。私はこの高速の海流について海底の火山活動によって陸化が進んでいた東北日本において海峡が狭くなり、速度が上がったものと考えた。の露頭の野外観察によって露頭の中に非火山性とみられる砂で構成されたラミナが確認されていることから、火山活動が比較的穏やかで珪長質の粒子が噴出されていない時期に代わりに非火山性とみられる海底の砂でラミナが構成されるということを意味する。

結論
本露頭は中新世の東北日本形成時の海底火山の噴出物と海底の非火山性の砂が、南部北上帯からなる陸塊とその南側に位置する陸塊の間に存在した海峡付近で堆積したトラフ状斜交葉理を持つクロスラミナ露頭であると考察した。また、堆積物の大部分は火山噴出物である珪長質の粒子であるが、部分的に非火山性の砂から構成されるラミナが観察されており、この堆積物の変化は活発な火山活動と緩やかになる状態を反映していると考えられる。本研究により当時の東北日本における火山活動と海洋環境の変遷を記録した露頭であることを明らかにした。

参考文献
  竹内誠・鹿野和彦・御子柴(氏家)真澄・中川充・駒澤正夫 20万分の1地質図「一関」
  平朝彦・海洋研究開発機構 カラー図解 地球科学入門
  佐野弘好 基礎地質学ノート, p91.
  東京大学 (c) 堆積:堆積構造と堆積相
  上野健一・久田健一郎編 地球学シリーズ3 地球学調査・解析の基礎
  大沢あつし・広島俊男・駒澤正夫・須田芳朗 20万分の1地質図「新庄及び酒田」