13:45 〜 15:15
[O11-P89] 喜界島の完新世サンゴ礁における礁原の広さとサンゴ群体径の比較
キーワード:サンゴ礁、完新世
1.はじめに
鹿児島県喜界島は隆起することでサンゴ礁の礁原が海沿いの陸地になっている.完新世に隆起したことでできた島を取り囲む4つの段丘面が見られる(内陸側から順にⅠ~Ⅳ面).また,航空写真を見ると海岸によって礁原の広さが異なることがわかる.そこで礁原の広さの違いにどのような要因が関係しているか疑問に思い,研究を始めた.
2.手法
航空写真をもとに広さが違う島の東西にある小野津と志戸桶,花良治の完新世段丘Ⅲ面(4100~3100年前の1000年間で形成された)を調査した.Ⅲ面上に海岸線と直行する方向に測線を設置しⅢ面の距離を記録した.測線上で見つけた化石サンゴの群体の数,大きさ,種類,位置を記録した.また,簡易レーザー距離計を使い,段丘地形に従って,各地点間の距離と高低差を測った.また,海底地形については,「みんなの海図」から引用し,礁原の地形の図と比較した.
3.結果
Ⅲ面における段丘面の地形については,志戸桶,花良治,小野津の順に傾斜が緩やかだった.礁原の広さは,完新世段丘Ⅲ面の広さに関して,志戸桶が50m,花良治が43.5m,小野津が8mだった (図1). 現在の海底地形と比較すると,地形の傾斜も志戸桶,花良路,小野津の順に緩やかになっていた.また,それぞれの場所にある化石サンゴ群体の大きさを調べたところ,長径の平均が志戸桶では35.9cm,花良路では27.9cm,小野津では16.7cmだった.地形の傾斜が緩やかな順にⅢ面の広さは広く,大きなサンゴが多かった.サンゴの種類について花良治で調べたところ,測線上の86の群体のうち,ミドリイシ属67個とキクメイシ科13個で多かった.ミドリイシ属のうち、種類が判別できるもののほとんどがヤスリミドリイシとニオウミドリイシだった.ミドリイシとキクメイシの長径別頻度を比べると10~19cmのサンゴがどちらも最頻で全体的にも似た頻度分布になっていた.現在の海底地形に関しては,海底地形の傾斜と礁原の傾斜は同じ傾向が見られた.
4.考察
長径の大きいサンゴの割合が高い地域は礁原が広かったことから,サンゴの長径と礁原の広さは関係していると考えられる.違う種類のサンゴでも,長径別頻度の割合が似ていたことから,サンゴの種類によってサイズ分布に違いはないと考察した.礁原の広い地域は,礁原の地形と海底地形の傾斜がどちらも緩やかに,狭い地域は急になっていたことから,海底地形の傾斜が礁原の広さと大きく関係していると考えられる.現在の海底地形を見ると志戸桶,花良治の傾斜が緩やかなため,今後もより拡大しやすいと予想される.
5.結論と展望
今回の実験から,礁原の広さに海底地形とサンゴの長径の大きさが関係していると考えられる.サンゴは水深5mより浅くなると垂直に成長せず、水平に成長するという習性から考えると,浅ければサンゴは横に成長していくと考えられるため,特に海底地形が大きく関係していると考えられる.今回の発表ではそれぞれの礁原が固定したCO2の量を比較する炭酸塩生成量(Coral Carbonate Production, CCP)も計算し,発表予定である.
今後は今回わかった礁原とサンゴ,海底地形の関係を確かめるために,調査地点を増やしたい.また,地形だけでなく今回考慮できなかった風の影響など,他の要因についても探究していきたい.
鹿児島県喜界島は隆起することでサンゴ礁の礁原が海沿いの陸地になっている.完新世に隆起したことでできた島を取り囲む4つの段丘面が見られる(内陸側から順にⅠ~Ⅳ面).また,航空写真を見ると海岸によって礁原の広さが異なることがわかる.そこで礁原の広さの違いにどのような要因が関係しているか疑問に思い,研究を始めた.
2.手法
航空写真をもとに広さが違う島の東西にある小野津と志戸桶,花良治の完新世段丘Ⅲ面(4100~3100年前の1000年間で形成された)を調査した.Ⅲ面上に海岸線と直行する方向に測線を設置しⅢ面の距離を記録した.測線上で見つけた化石サンゴの群体の数,大きさ,種類,位置を記録した.また,簡易レーザー距離計を使い,段丘地形に従って,各地点間の距離と高低差を測った.また,海底地形については,「みんなの海図」から引用し,礁原の地形の図と比較した.
3.結果
Ⅲ面における段丘面の地形については,志戸桶,花良治,小野津の順に傾斜が緩やかだった.礁原の広さは,完新世段丘Ⅲ面の広さに関して,志戸桶が50m,花良治が43.5m,小野津が8mだった (図1). 現在の海底地形と比較すると,地形の傾斜も志戸桶,花良路,小野津の順に緩やかになっていた.また,それぞれの場所にある化石サンゴ群体の大きさを調べたところ,長径の平均が志戸桶では35.9cm,花良路では27.9cm,小野津では16.7cmだった.地形の傾斜が緩やかな順にⅢ面の広さは広く,大きなサンゴが多かった.サンゴの種類について花良治で調べたところ,測線上の86の群体のうち,ミドリイシ属67個とキクメイシ科13個で多かった.ミドリイシ属のうち、種類が判別できるもののほとんどがヤスリミドリイシとニオウミドリイシだった.ミドリイシとキクメイシの長径別頻度を比べると10~19cmのサンゴがどちらも最頻で全体的にも似た頻度分布になっていた.現在の海底地形に関しては,海底地形の傾斜と礁原の傾斜は同じ傾向が見られた.
4.考察
長径の大きいサンゴの割合が高い地域は礁原が広かったことから,サンゴの長径と礁原の広さは関係していると考えられる.違う種類のサンゴでも,長径別頻度の割合が似ていたことから,サンゴの種類によってサイズ分布に違いはないと考察した.礁原の広い地域は,礁原の地形と海底地形の傾斜がどちらも緩やかに,狭い地域は急になっていたことから,海底地形の傾斜が礁原の広さと大きく関係していると考えられる.現在の海底地形を見ると志戸桶,花良治の傾斜が緩やかなため,今後もより拡大しやすいと予想される.
5.結論と展望
今回の実験から,礁原の広さに海底地形とサンゴの長径の大きさが関係していると考えられる.サンゴは水深5mより浅くなると垂直に成長せず、水平に成長するという習性から考えると,浅ければサンゴは横に成長していくと考えられるため,特に海底地形が大きく関係していると考えられる.今回の発表ではそれぞれの礁原が固定したCO2の量を比較する炭酸塩生成量(Coral Carbonate Production, CCP)も計算し,発表予定である.
今後は今回わかった礁原とサンゴ,海底地形の関係を確かめるために,調査地点を増やしたい.また,地形だけでなく今回考慮できなかった風の影響など,他の要因についても探究していきたい.
