JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS21] [JJ] 陸域と海洋をつなぐ水循環の物理過程

2017年5月22日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、山崎 大(海洋研究開発機構)、松村 義正(東京大学 大気海洋研究所)、山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)

[AOS21-P01] 全球河川氾濫モデルへの海面水位変動過程の組み込みとその影響評価

★招待講演

池内 寛明1平林 由希子1、*山崎 大2 (1.東京大学大学院工学系研究科、2.海洋研究開発機構)

キーワード:河川洪水、高潮災害、全球河川氾濫モデル、全球潮汐高潮再解析

全球河川氾濫モデルは、地形データや観測データの乏しい地域での河川洪水リスク評価や地球全体での氾濫域マッピングとその地域間比較などに応用され、近年世界の各研究機関で開発されている。しかしながら、それらは主に陸域での洪水リスク評価に焦点が当てられているため、海面水位変動過程は考慮されておらず、例えば潮汐や高潮に脆弱な地域での洪水氾濫の再現が過小評価されるという点が課題だった。
本研究では、背水効果を適切に表現できる全球河川モデルと、近年開発された全球潮汐高潮再解析データを持ちいることによって、海面水位変動が河川洪水氾濫に及ぼす影響を解明することを目的とした。まず、全球河川モデル内において海面水位変動を表現するためのモデルの改良を行った。次に、潮汐高潮再解析データと全球河川モデルの間で海面水位データを受け渡すためのスキームの開発を行い結合実験を行うとともに、その影響を評価した。
全球規模での結合実験の結果、海面水位変動を考慮しない場合と比べて河川水位が0.5 m以上増大する地点が多くあり、河川氾濫に対し海面水位変動が有意に影響を及ぼすことが分かった。その中でも特に影響の大きかったアジア域の集水面積が160,000 km2以上の大河川を対象として、河川水位の時系列変化を分析した結果、ピーク水位が1m以上増加したり、河川水位の季節変動がより強化されたりするなど、大きなインパクトをもつことが明らかになった。