招待講演設置セッション紹介
[資源開発] 1日目 B会場(13:00~16:00),2日目B会場(9:00~11:30)
本セッションでは,シーケンス層序学など地質学に関する招待講演のほかに,物理探査工学,貯留層工学,生産技術,掘削技術,HSEなど石油上流関連部門における多岐にわたる分野に加え,最近,地球温暖化抑制の観点から必要性が急速に高まっている二酸化炭素地下貯留技術についての発表が行われる。またAIやクラウドコンピューティングなど,最新技術トレンドを応用した研究についての発表も注目される。
「シーケンス層序学における時間空間スケール」(1日目,13:00~13:45)
信州大学 保柳康一
シーケンス層序学は,1977年に出版されたAAPGのMemoir26によって提案されたサイスミック層序学に堆積学要素を加え1980年代後半に成立した。そのため,当初のスケールは,数百万年の周期の海水準変動によって形成される厚さ数百mの地層パッケージをその単位(堆積シーケンス)とした。しかし露頭や掘削コアなどの解析から見出される数万年から数十[石油精製・石油化学における水銀等の微量化合物の除去]
1日目F会場(9:30~11:30)
原油由来の微量水銀による触媒毒及び製品の品位低下等を防ぐため,既に多くの企業で水銀除去装置が稼動している。最近ではバイオマスガスを原料とした合成燃料(GTL)の製造工程において,本バイオマスガスに含まれる水銀の除去が重視されている。本セッションでは,リチウム回収方法の水銀除去への応用の招待講演に始まり,バイオマスガスの水銀除去,水銀除去機構の解明,最近の実装動向等を述べる。
「海水およびかん水からのリチウム回収プロセスの開発」(9:30~10:00)
北九州市立大学 吉塚和治
環境負荷低減のため,EV需要が増加し,リチウムイオン電池の生産増が大きなトレンドとなっている。これに伴い鉱石以外のリチウム源からのリチウム回収にも注目が集まっている。講演者らは,比較的低濃度の海水およびかん水からのリチウム回収技術を開発したが,油井随伴水などを対象としたリチウム回収の可能性があると認識し,低濃度領域からのリチウム回収プロセスについて発表する。本プロセスは,石油精製プラントにおける水銀除去プロセスとの共通点もあると認識している。[ポリマー・オリゴマー] 2日目E会場(9:00~15:45)
オレフィン系ポリマーやオリゴマーの製造技術は化学産業における基幹技術で,新しい高分子機能材料の創製や高性能触媒の研究開発は重要な課題です。近年では,分解・リサイクル可能な高機能材料やケミカルリサイクルの研究開発の重要性も認識されています。本セッションでは高機能ポリオレフィンの合成触媒やポリオレフィンの触媒分解に関する2件の招待講演を中心に,基礎から応用までの幅広い発表を予定しています。
「リビング配位重合触媒の開発とシクロオレフィン共重合体への応用」
(10:45~11:30)
広島大学 塩野 毅
講演者はこれまでにオレフィンの共重合反応性に優れたリビング配位重合を開発し,その応用について報告してきた。本研究では,その開発過程を振り返るとともに,テーラーメイドシクロオレフィンへの応用について紹介する。「石油精製との組み合わせを指向するポリオレフィンの触媒分解」
(13:45~14:30)
鳥取大学 片田直伸
講演者らは,NEDO革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発事業の一環としてポリオレフィン分解に対する触媒とプロセス構築に取り組んでいる。石油精製と組み合わせると,生成フロー中の炭化水素混合物を溶媒とすることができ,これによって逐次反応が抑えられ有用成分の選択性が増し,また分解度の低い生成物も接触分解で有用成分に転換できる。触媒,溶媒,ポリオレフィンの組成,塩化ビニルなど避けられない混入物の影響,今後の課題を紹介する。[バイオマス利用技術の新展開]
1日目B会場(9:30~11:15),2日目B会場(13:00~16:30)
豊富な賦存量を持つバイオマスについて,様々な利用技術が研究・開発されてきた。2050年までに温室効果ガスのゼロエミッション目標を実現し,持続可能な社会形成に益々欠かせなくなってきたバイオマス利用技術に新たな展開が求められている。本セッションでは,最新のバイオマス利用技術に関する研究・開発動向を捉える招待講演を含め,バイオジェット燃料やバイオマテリアルの製造法・触媒の開発に着目するバイオマス利用分野の講演が行われます。
「接触分解プロセスにおけるバイオマス原料のコプロセッシング
―実験および機械学習を用いた反応解析―」(2日目,13:00~13:45)
信州大学 嶋田五百里
石油精製技術におけるバイオマスコプロセッシングに注目が集まっている。接触分解プロセスを用いたコプロセッシングでは,共存する重質油の分解過程で発生する水素をバイオマス脱酸素に活用できるため,外部水素を導入することなくバイオマスの脱酸素化が進行する可能性がある。本発表では,植物油や微細藻類油,バイオオイルなどのバイオマス資源を原料とした接触分解反応に関し,反応機構解析を行った結果を紹介する。さらにバイオマスのような複雑な組成を持つ原料の反応解析における機械学習の利用についての検討を紹介する。[水素・エネルギーキャリア・CCU/カーボンリサイクル]
1日目 A会場(9:30~16:00),2日目A会場(9:00~16:45)
カーボンニュートラルに取り組む上で,多様な分野の脱炭素化に寄与しうる水素・エネルギーキャリア技術への期待は大きい。また回収したCO2を資源として燃料や化学品などに再利用するCCU/カーボンリサイクル技術にも注目が集まっている。本セッションでは,招待講演にてカーボンニュートラル実現における炭化水素への期待を示すとともに,当該分野における最新の研究成果を総覧することで,技術の可能性とその果たすべき役割を探る。
「再生可能エネルギーと炭化水素の未来」(2日目,9:00~9:30)
早稲田大学 関根 泰
移動体のための燃料,再生可能エネルギーのバックアップのための燃料,ならびに化学産業にとって,炭化水素は未来永劫重要なものとなる。炭化水素の今後のあるべき姿について,世界の状況や我が国の政策,研究開発動向などを俯瞰的に総括し今後の展望につなげたい。[プラスチックリサイクルの最新動向] 1日目 C会場(9:30~14:15)
廃プラスチックによる環境汚染問題に加え,脱炭素化のうねりを受けて,廃プラスチックの循環利用が世界的にも喫緊の課題となっている。本セッションでは,廃プラスチックの熱分解あるいは重質原料油との共熱分解,さらには触媒分解に関わる最先端の研究成果を発表する。また廃プラスチック・ケミカルリサイクルをめぐる動きの総括的な紹介,廃プラスチック処理を含む製油所のライフサイクル的な考察につき招待講演を用意している。
「カーボンニュートラルへ向かう社会における製油所の役割に関するライフサイクル思考」(11:00~11:30)
東京大学 菊池康紀
燃料や化成品の製造は,カーボンニュートラル社会を実現した後にも不可欠となる重要なプロセスであり,再生可能資源や循環型資源を活用して持続しなければならない。本講演では,ライフサイクル思考に基づき,今後の社会の中で製油所が持つべき役割について検討する。特に,原料の転換に関しては廃プラスチックやバイオ由来原料の活用を含め,化石資源から変遷したときの新たな価値を議論する。「廃プラスチックのケミカルリサイクルのこれまでとこれから」
(11:30~12:00)
早稲田大学 加茂 徹
廃プラスチックのリサイクルの研究は1970年代から始まり,1990年代には日本やヨーロッパで商業プラントが建設されたが,大部分はその後経済的な理由で廃止された。2015年以降,温暖化ガスや廃プラスチックが深刻な地球環境問題として広く認識され,マテリアルリサイクルの限界が明らかになると,ケミカルリサイクルへの期待が大きくなっている。本講演では,これまでのケミカルリサイクルの経緯と今後の展望を述べる。[メタン反応触媒] 2日目 C会場(9:00~17:00)
カーボンニュートラルの潮流の中,メタン利用を取り巻く動向はこのところ目まぐるしく変化している。そのようななかでも,メタンを化学変換する触媒技術は常に重要な位置付けにある。本セッションでは,最近のメタン動向を捉える招待講演に始まり,JST-CREST(革新的触媒)の各チームのメタン反応触媒研究,特に固体触媒研究を総集,さらに触媒インフォマティクスを招待講演に迎え,高難度なメタン反応への新たな触媒開発の方向性を見る。
「気候変動,脱炭素と激動する環境下での石油産業のサバイバルを考える」(9:00~9:30)
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 伊原 賢
気候変動,脱炭素,エネルギー転換(EX),地政学,油価変動,コロナ禍と激動する環境下での,石油産業のような炭素集約型ビジネスのトランジションには,コストやイノベーションが欠かせず,長い対応時間も必要となる。加えて,石油産業は現在,経済と雇用を支えている。これら諸事情を考慮すると,適正なトランジションファイナンスで,メタン革新触媒といった新価値創出によって,脱炭素化へのプロセスを後押しすることが重要となろう。「触媒インフォマティクスによるメタン酸化触媒の設計」(13:00~13:30)
北海道大学 高橋啓介
触媒インフォマティクスによるメタン酸化触媒の設計について講演する。講演ではハイスループット実験と文献データによる触媒データベースの構築,機械学習等によるデータ科学からの触媒設計方法,そしてそれらを統合した触媒インフォマティクスプラットフォーム「CADS」について紹介する。[若手研究者・技術者によるインターナショナルセッション]
1日目 F会場(13:00~15:45),2日目F会場(9:00~11:15)
本セッションは発表テーマを特に設けず,幅広い研究分野からの英語による研究発表セッションです。今年の長野大会では国内から3件の招待講演,12件の一般発表講演を行います。また学生および若手研究者(35歳以下)の発表については講演賞の選定・表彰をJPIJS主催のもと行います。
“Nano-metal phosphides as green sustainable hydrogenation catalysts” (1st Day, 13:00~13:30)
Osaka Univ. Takato MITSUDOME
Nano-metal phosphides can serve as green sustainable catalysts for various hydrogenation reactions under liquid-phase conditions. The metal phosphide catalysts outperform conventional hydrogenation catalysts in terms of activity, stability, and durability.“Low-dimensional assembling of iron-aqua complexes for designing post-TiO2”(1st Day, 14:45~15:15)
National Institute for Materials Science Yusuke IDE
We demonstrate that fleeting dimeric aqua–Fe(III) species can be stabilised using a mesoporous silica/layered silicates to produce a photocatalyst/UV absorber whose performances exceed (are comparable to) that of a benchmark TiO2 nanoparticle. We also report that an exceptional type of green rust, which is considered as two-dimensional assembling of aqua-Fe(II)/Fe(III) complexes and previously thought to be very instable against oxidation, shows high oxidation stability and good photocatalytic activity comparable to that of a benchmark TiO2 nanoparticle. These materials are expected as alternatives to TiO2 nanoparticles, which are widely used but not ideal from a human safety perspective.“Oxidative coupling of methane on alkaline tungstate catalysts”
(2nd Day, 10:45~11:15)
The University of Tokyo Kazuhiro TAKANABE
Alkali tungstates are excellent catalysts for oxidative coupling of methane (OCM). The promotional effects on both rate and selectivity were attained in the presence of water. This study elucidates active sites for selective OCM performance by the microkinetic analysis as well as operando spectroscopic characterization to elucidate the active sites. The results suggest that active components are alkali metal existing at the most outer surface, which forms peroxide species in equilibrium with gas-phase oxygen. This surface peroxide is likely responsible for OH radical formation to selectively convert CH4 to C2.