公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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有床義歯

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-17] 顎堤吸収量の差が口腔内スキャナーを用いた咬合採得に与える影響

*永田 琴乃1、浅沼 直樹2、渡會 侑子2、鈴木 達大1、川名 桃香1、水橋 史1,2 (1. 日本歯科大学大学院 新潟生命歯学研究科 機能性咬合治療学、2. 日本歯科大学生命歯学部 歯科補綴学第1講座)

[Abstract]
【目的】
 口腔内スキャナーを用いた咬合採得の研究としては,欠損歯数の増加が精度に影響を及ぼすという報告がされている.一方で,顎堤吸収量の差が咬合採得の精度に与える影響については不明な点が多い.
 本研究では顎堤吸収量の差が口腔内スキャナーを用いた咬合採得に及ぼす影響について検討を行った.
【方法】
 有歯顎模型(H-117-CFU, H-117-CFL,Kulzer)の複印象を採得し,製作した石膏模型を用いて検討した.基準点の設定には直径0.6㎜のラウンドバーを用いた.基準点の設定位置は模型の64¥bduah¥46,64¥bddah¥46相当部とし,歯冠近遠心幅径1/2,歯頸部から上顎模型では3.0㎜,下顎模型では6.0㎜の歯肉相当部とした.口腔内スキャナー(TORIOS3,3Shape)を用いて,上下顎模型全体のスキャンを行い,咬合時における頬側面のスキャンを左右それぞれ行った.模型のスキャンは各12回行い,その後,模型の76¥bdvatl¥部及び顎堤部をカーバイドバーにて削除し,顎堤吸収量を増加後,同様の手順でスキャンを行った.条件は欠損なし,顎堤吸収量小(6¥bdvatl¥歯頸部からの顎堤吸収量0㎜),顎堤吸収量中(6¥bdvatl¥歯頸部からの顎堤吸収量2㎜),顎堤吸収量大(6¥bdvatl¥歯頸部からの顎堤吸収量4㎜)とした.得られた3Dデータを3Dビューア(3Shape 3D Viewer,3Shape)に取り込み,64¥bdvabl¥64¥bdvatl¥及び¥bdvabr¥46¥bdvatr¥46基準点間の測定を行った.統計解析は欠損なしの条件をコントロールとし,一元配置分散分析を用いて統計学的分析を行った.
【結果と考察】
 6¥bdvabl¥6¥bdvatl¥基準点間ではコントロールと比較し,顎堤吸収量小及び大において,¥bdvabr¥4¥bdvatr¥4基準点間では顎堤吸収量大において有意に小さい値を認めた(p <0.05).
 本研究の結果,口腔内スキャナーを用いた咬合採得の精度に顎堤吸収量が影響を与えることが示唆された.これは咬合採得のスキャン時にランドマークとなる歯が欠損していることに加え,顎堤吸収量が増大することで反射する対象物が減少することが原因と考えられる.今後,顎堤吸収の形態や残存歯についても条件を変化させて検討を行う所存である.