[P-19] 軟質リライン材は食品の硬さに影響する
[Abstract]
【背景と目的】
有歯顎者は食品を歯で粉砕するのに対し，全部床義歯装着者は義歯の上で食品を咬合する１)．この違いから，有歯顎者は食品だけを硬さとして認識するが，全部床義歯装着者は義歯と食品との複合体を硬さとして認識する可能性がある．そこで，我々は，「義歯床用材料上の試験食品の硬さは本来の試験食品の硬さと異なる」という仮説を立てた．本研究は，その仮説を検証することを目的として実施した．
【材料および方法】
模擬義歯床は床部2mmと裏装部2mmで製作した．床部は加熱重合型アクリルレジン（松風アーバン，松風）を用い，裏装部にはシリコーン系軟質リライン材3種類（ソフリライナースーパーソフト，ソフリライナーミディアムソフト，ソフリライナータフミディアム，トクヤマ），アクリル系軟質リライン材１種類（フィジオソフトリベース，ニッシン），及び加熱重合型アクリルレジンを用いた．試験食品にはグミゼリー（グルコラム， GC），ピーナッツ，生ニンジン，カマボコ，リンゴを用いた．試験食品の硬さの測定はテクスチャーアナライザー(EZ-S， 島津製作所)を使用し試験食品をクロスヘッドスピード9.78mm/secで５回圧縮測定後，パッケージジソフトを用い分析した．また，模擬義歯床裏装部のゴム硬度はショアAゴム硬度計（GS709N、テクロック社製）で５回測定した．統計解析は一元配置分散分析とダネット検定による多重比較を用い試験食品ごとに分析を行った．有意水準はP<0.05とした．
【結果と考察】
各模擬義歯床上でのグミゼリーの硬さと裏装部のショアAゴム硬度を図に示す．一元配置分散分析の結果，異なる模擬義歯用上で測定したグミゼリーの硬さは裏装部が柔らかくなるにつれて有意に異なることが明らかとなった（p<0.05）．また、生ニンジン， ピーナッツ， リンゴ，カマボコの模擬義歯用上の硬さも同様の結果であった（p<0.05）．
【参考文献】
1) González-Gil D, Flores-Fraile J, López-Marcos J. Tactile Sensibility Thresholds in Implant Prosthesis, Complete Dentures and Natural Dentition: Review about Their Value in Literature. Medicina (Kaunas). 2022; 58(4): 501.
【背景と目的】
有歯顎者は食品を歯で粉砕するのに対し，全部床義歯装着者は義歯の上で食品を咬合する１)．この違いから，有歯顎者は食品だけを硬さとして認識するが，全部床義歯装着者は義歯と食品との複合体を硬さとして認識する可能性がある．そこで，我々は，「義歯床用材料上の試験食品の硬さは本来の試験食品の硬さと異なる」という仮説を立てた．本研究は，その仮説を検証することを目的として実施した．
【材料および方法】
模擬義歯床は床部2mmと裏装部2mmで製作した．床部は加熱重合型アクリルレジン（松風アーバン，松風）を用い，裏装部にはシリコーン系軟質リライン材3種類（ソフリライナースーパーソフト，ソフリライナーミディアムソフト，ソフリライナータフミディアム，トクヤマ），アクリル系軟質リライン材１種類（フィジオソフトリベース，ニッシン），及び加熱重合型アクリルレジンを用いた．試験食品にはグミゼリー（グルコラム， GC），ピーナッツ，生ニンジン，カマボコ，リンゴを用いた．試験食品の硬さの測定はテクスチャーアナライザー(EZ-S， 島津製作所)を使用し試験食品をクロスヘッドスピード9.78mm/secで５回圧縮測定後，パッケージジソフトを用い分析した．また，模擬義歯床裏装部のゴム硬度はショアAゴム硬度計（GS709N、テクロック社製）で５回測定した．統計解析は一元配置分散分析とダネット検定による多重比較を用い試験食品ごとに分析を行った．有意水準はP<0.05とした．
【結果と考察】
各模擬義歯床上でのグミゼリーの硬さと裏装部のショアAゴム硬度を図に示す．一元配置分散分析の結果，異なる模擬義歯用上で測定したグミゼリーの硬さは裏装部が柔らかくなるにつれて有意に異なることが明らかとなった（p<0.05）．また、生ニンジン， ピーナッツ， リンゴ，カマボコの模擬義歯用上の硬さも同様の結果であった（p<0.05）．
【参考文献】
1) González-Gil D, Flores-Fraile J, López-Marcos J. Tactile Sensibility Thresholds in Implant Prosthesis, Complete Dentures and Natural Dentition: Review about Their Value in Literature. Medicina (Kaunas). 2022; 58(4): 501.