Fixed Partial Denture

[P-37] Bond strength and mineral induction ability of a novel resin luting agent containing a bioactive monomer

*Taro Iwasaki¹, Kei Kubochi¹, Hiroki Takata¹, Yusuke Watanabe¹, Ryosuke Fushiki¹, Daisuke Nakayama¹, Futoshi Komine¹ (1. Department of Fixed Prosthodontics, Nihon University School of Dentistry)

[Abstract]
【目的】
　歯質の石灰化を誘導するバイオアクティブモノマーであるcalcium salt of 4-methacryloxyethyl trimellitate acid（CMET）が開発され歯科材料に応用されている．一方，CMETを含有する装着材料に関する研究は少ないのが現状である．そこで本研究では，CMET含有の新規装着材料を試作し，歯質に対する接着強さや石灰化物誘導能について市販装着材料と比較し評価を行った．
【方法】
　ウシ抜去前歯を円筒形リング内に包埋し，耐水研磨紙（#400）を用いて注水研削後，歯冠部エナメル質および象牙質を被着面とした．装着材料はCMET含有新規装着材料（EXC，サンメディカル），キャリブラセラム（デンツプライシロナ），マルチリンクオートミックス，スピードセム Plus（イボクラールビバデント），パナビア V5，SA ルーティング Multi（クラレノリタケデンタル）およびリライエックスユニバーサル（3M）を用いた．各製造者指示に従い被着面に対して表面処理を行った．被着面に各装着材料を塗布し，円柱形レジンを荷重5 Nで固定し，4方向から各面20秒間の光照射を行い試料とした．製作された試料は37℃精製水中に24時間保管後，水中熱サイクル負荷（0回と5,000回）を行った．接着試験は万能試験機（Type5567，インストロン）を用いて行った．クラスカル・ウォリス検定および多重比較検定で統計解析を行った（有意水準5%）．
　石灰化物誘導能評価のための試料は，テフロン製モールド内にEXCを充填し製造者指示に従い製作した．擬似体液中に浸漬し，37℃で5日間保管後，エネルギー分散型エックス線分光法による試料表面の観察および元素分析を行った．
【結果と考察】
　歯質に対するEXCの初期接着強さはいずれの条件においても市販装着材料と比較して同等もしくは有意に高い値を示した．EXCをセルフアドヒーシブモードで歯質に接着させた場合，水中熱サイクル負荷前後で接着強さに有意な差を示さなかった．擬似体液中に浸漬後，EXC試料表面には明らかな析出物が観察され，元素分析の結果，PとCaが検出された．
　本研究からCMET含有の新規装着材料は市販のレジン系装着材料と比較し同等もしくは有意に高い接着強さを有することが示された．さらに，CMETを含有することによってEXCが石灰化物の形成を誘導することが示唆された．