[P-39] 各種被着面処理材の塗布がPEEKへのレジンセメントの接着強さに及ぼす影響
[Abstract]
【目的】
2023年の12月に歯科用PEEKが保険適用となった．PEEKは化学的に安定した材料であるため，結合できる反応基に乏しく，装着材料との接着が困難である．本研究では，各種被着面処理材を塗布した歯科用PEEKの剪断接着強さへの影響について，検討を行った．
【方法】
本研究では被着体として歯科用PEEK（松風），接着性レジンセメントはビューティリンクSA（松風，SA）を用いた．PEEKディスクから10×10×3 mmの被着体を切りだし（Isomet TM LS，BUEHLER），常温重合型レジン（Palapress，Kulzer）にて包埋したものを試験体とした．被着面は＃240，400，600の順に耐水研磨紙で研磨した．その後，50 ㎛のアルミナ粒子を用いてサンドブラスト（10秒間，0.2MPa）し，超音波洗浄後に流水にて清掃し乾燥させた．接着面積を規定するために，厚み 50 ㎛のテープに直径5 mmの穴をあけ被着体に貼付した．また，円柱状ステンレス（Φ6 mm，高さ10 mm）の被着面にもアルミナブラストを行い，金属接着性プライマー（メタルリンク，松風）を塗布した．被着面処理材は，プライマー処理なし（CO），CAD/CAMレジン用アドヒーシブ（松風，RA），ビューティーボンドXtreme（松風，BX），松風ポーセレンプライマー（松風，SP）をメーカー指示で塗布した．また，MMA溶液としてPROVINICE液（松風，PE）も使用した．装着にはSAをPEEK被着面に塗布し，荷重1 kg下で圧接しながら余剰セメントの除去後，光照射器（Valo，Ultradent）にて3方向から20秒ずつ光照射した．すべての試料は37℃24時間，超純水中に浸漬後，万能試験機（AGS-5KNX，島津）を用い，クロスヘッドスピード1.0 mm/minにて圧接剪断試験を行った（n=15）．得られた結果についてKruskal-Wallis検定，Steel-Dwass多重比較を行った．
【結果と考察】
RAとBXの間に有意差は認められなかった（p > 0.05）．また，COとSP，PE間に有意差は認められなかった（P > 0.05）．以上のことからPEEKの接着にはRAとBXが有効で，シラン処理材であるSPとMMA溶液のPEでは剪断接着強さの向上は認められなかった．
【目的】
2023年の12月に歯科用PEEKが保険適用となった．PEEKは化学的に安定した材料であるため，結合できる反応基に乏しく，装着材料との接着が困難である．本研究では，各種被着面処理材を塗布した歯科用PEEKの剪断接着強さへの影響について，検討を行った．
【方法】
本研究では被着体として歯科用PEEK（松風），接着性レジンセメントはビューティリンクSA（松風，SA）を用いた．PEEKディスクから10×10×3 mmの被着体を切りだし（Isomet TM LS，BUEHLER），常温重合型レジン（Palapress，Kulzer）にて包埋したものを試験体とした．被着面は＃240，400，600の順に耐水研磨紙で研磨した．その後，50 ㎛のアルミナ粒子を用いてサンドブラスト（10秒間，0.2MPa）し，超音波洗浄後に流水にて清掃し乾燥させた．接着面積を規定するために，厚み 50 ㎛のテープに直径5 mmの穴をあけ被着体に貼付した．また，円柱状ステンレス（Φ6 mm，高さ10 mm）の被着面にもアルミナブラストを行い，金属接着性プライマー（メタルリンク，松風）を塗布した．被着面処理材は，プライマー処理なし（CO），CAD/CAMレジン用アドヒーシブ（松風，RA），ビューティーボンドXtreme（松風，BX），松風ポーセレンプライマー（松風，SP）をメーカー指示で塗布した．また，MMA溶液としてPROVINICE液（松風，PE）も使用した．装着にはSAをPEEK被着面に塗布し，荷重1 kg下で圧接しながら余剰セメントの除去後，光照射器（Valo，Ultradent）にて3方向から20秒ずつ光照射した．すべての試料は37℃24時間，超純水中に浸漬後，万能試験機（AGS-5KNX，島津）を用い，クロスヘッドスピード1.0 mm/minにて圧接剪断試験を行った（n=15）．得られた結果についてKruskal-Wallis検定，Steel-Dwass多重比較を行った．
【結果と考察】
RAとBXの間に有意差は認められなかった（p > 0.05）．また，COとSP，PE間に有意差は認められなかった（P > 0.05）．以上のことからPEEKの接着にはRAとBXが有効で，シラン処理材であるSPとMMA溶液のPEでは剪断接着強さの向上は認められなかった．