Fixed Partial Denture

[P-40] Effects of glazing on the strength of multi-layered zirconia

*Yoshiki Ishida¹, Satoru Watanabe², Daisuke Miura¹, Akikazu Shinya^1,3 (1. Department of Dental Materials Science, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University, 2. 2Department of Crown and Bridge, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University, 3. Department of Prosthetic Dentistry and Biomaterials Science, Institute of Dentistry, University of Turku)

[Abstract]
【目的】
　近年，イットリア含有量の異なるジルコニアを積層し，切縁から歯頸部の色調変化を再現した多層構造ジルコニアが登場し，高い審美性を有する補綴装置の製作が可能となった．症例によってグレージングなど行うことで，より高い審美性を実現している．しかし，グレーズ材などはジルコニアと比較するとその機械的性質は極めて小さいことから，グレージングはその機械的性質に影響すると考えらえる．そこで我々は，グレージングを多層構造ジルコニアに行い，機械的性質に及ぼす影響を検討した．
【方法】
　多層構造ジルコニア（ZR ルーセントスープラ，松風，京都）のエナメル，ボディ，サービカルの各層から試料を切り出し，メーカー指定に従い焼結し，#800耐水研磨紙を用いて研磨した．グレージングは，グレーズ材（ユニバーサルパウダー・リキッド，松風）を用いて，曲げ試験用試料は両面，硬さ試験用試料は片面に対して，メーカー指示に従い行った．グレージングしていない無処理の試料をコントロールとした．三点曲げ試験はISO 6872:2015に準じて行い，曲げ強さと曲げ弾性率を算出した．ビッカース硬さ試験からビッカース硬さと破壊靭性値を算出した．繰り返し数は10とし，二元配置分散分析と多重比較を行った（α=0.05）．
【結果と考察】
　曲げ強さは，グレージング試料において全ての層の間に有意差は認められなかった（p>0.05）．エナメル以外でグレージング試料は無処理より有意に小さくなった（p<0.05）．曲げ弾性係数は，グレージング試料において全ての層の間に，また，各層において条件間に有意差は認められなかった（p>0.05）．ビッカース硬さでは，両条件において全ての層の間に有意差は認められず（p>0.05），全ての層でグレージング試料が無処理より有意に小さくなった（p<0.05）．破壊靭性値は，グレージング試料においてサービカルがエナメルより有意に大きくなり，全ての層で無処理より有意に小さくなった（p<0.05）．本研究の結果，グレージングはジルコニアの種類に関わらずその機械的性質を低下させることが明らかとなった．グレーズ材の主成分はガラスであり，機械的性質がジルコニアより極めて小さいことが影響していると考えられる．
　このことから，症例などにより，十分に注意してグレージングを行う必要があることが示唆された．