第50回日本理学療法学術大会

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分科学会 シンポジウム

日本小児理学療法学会 分科学会 シンポジウム5

我が国の小児理学療法の歩み

Fri. Jun 5, 2015 6:10 PM - 8:00 PM 第4会場 (ホールB7(2))

座長:中徹(群馬パース大学 保健科学部 理学療法学科)

[S-05-2] 肢体不自由児が在籍している特別支援学校における理学療法士の役割とその課題

工藤俊輔 (秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座)

研究の背景:本邦において医療職種である理学療法士・作業療法士(以下,PT・OTと略)は法律上の制限があり,一部例外はあるものの一般的には特別支援学校で働くことはできない。もし特別支援学校でPTが働くことを希望する場合,あらたに特別支援学校教員免許(自立活動教諭等)を取得し,PTとしてではなく特別支援学校教員として採用され,教師としてその役割を果たすしかない。しかし,特別支援学校における児童生徒の障害の重度化が問題となる中で,秋田県立A特別支援学校で非常勤のPT・OTが導入され,教育上の助言・指導を受けることとなった。研究の目的:今回初めて行われた秋田県立A秋田特別支援学校におけるPT(2名)・OT(1名)のこれまでの取り組みを整理し,その効果を明らかにし,障害の重度化が進む今後の特別支援学校でのPTの役割を明らかにすることである。研究の方法:これまでの取り組み及びアンケートによる意識調査。結果:PT・OTに対する期待としてポジショニング指導と摂食指導についてのニードが最も多かった。(2)PT・OTの仕事を実際に見たことがある教員は40人(82%)がPT・OTの仕事を見たことがあり,その指導を経験していた。しかし,(3)教育と医療・福祉の連携に関しては31人(63%)が不充分もしくはやや不充分と回答していた。(4)PT・OTが4月より導入され,役だったかどうかという点については43人(88%)が役立ったという評価をしていた。従って,PT・OT導入の効果という点では37人(75.5%)からの肯定的なコメントもあり,これまでの活動は一定の評価がなされたものと考えた。結論:肢体不自由特別支援学校におけるPT・OTの導入は教育上の効果があり,今後,①教員との場の共有②必要な部門へのスピーディな情報の伝達③仕事上でお互いに達成感を共有できる連携のしくみを作ることが重要であり,今後,PTは特別支援学校における教師との連携をさらに深める体制作りが課題ではないかと考えた。