[2S6-OS-7a] 医歯薬学・生命科学の革新を目指した言語処理

[2S6-OS-7a-03] 自然言語処理システムを用いた医療文書中の病名・症状の分析

～バンコマイシン塩酸塩による急性アレルギー性皮膚症状の症例検出～

〇大野 由紀子¹、青森 達^1,2,3、清宮 啓介²、石川 春樹³、西山 智弘⁴、井澤 美苗²、望月 眞弓²、荒牧 英治⁴、大谷 壽一^1,2,3 (1. 慶應義塾大学大学院薬学研究科、2. 慶應義塾大学薬学部、3. 慶應義塾大学病院薬剤部、4. 奈良先端科学技術大学院大学)

キーワード：自然言語処理、固有表現抽出、臨床記録

市販後に様々な状況下で医薬品が使用されると，市販前の臨床試験では発見できなかった新たな副作用の知見が得られることがある．そこで，カルテ情報などの非構造化データから症状を収集できる病名抽出システムを活用することにより，副作用モニタリングの自動化が可能になることが期待される．本研究では，バンコマイシン塩酸塩を投与された患者の看護記録を病名抽出システムとアレルギー性皮膚症状の用語リストを用いて分析することにより，症例が多く発現した期間とそれ以外の期間で症状発現症例・発現割合を特定できるか調査した．提案手法による症例検出精度は F 値 0.71-0.74 であり，2 つの期間における症状発現割合の変動は提案手法と研究者の目視確認とでほぼ等しい結果であった．以上より，バンコマイシン塩酸塩によるアレルギー性皮膚症状のモニタリングに提案手法が利用できる可能性が示唆された．