栄養・飼養

[I-18-13] 黒毛和種肥育中期牛への木材クラフトパルプの給与が第一胃発酵に及ぼす影響

*前田 友香¹、西村 慶子¹、新倉 宏²、水口 人史³、佐藤 繁⁴、寺田 文典⁵、櫛引 史郎⁶ (1. 宮崎畜試、2. 日本製紙、3. 岩手大研究推進機構、4. 岩手大農、5. 東北大院農、6. 農研機構畜産部門)

【目的】黒毛和種牛の肥育では，肥育前期から中期にかけて濃厚飼料の増給を行うため，第一胃内の発酵亢進が誘導されやすい．一方，木材クラフトパルプ（KP）を乳牛に給与すると第一胃発酵の安定に寄与することが示されているが，肥育後期の黒毛和種牛では濃厚飼料の10%をKPに置き換えても同様の効果は認められなかった．そこで，肥育中期の黒毛和種牛へ濃厚飼料の代替としてKPを7.5%もしくは15%給与した場合の第一胃発酵への影響を検討した．【材料と方法】16カ月齢の黒毛和種去勢牛3頭を用い，1期14日間の3×3ラテン方格法で実施した．処理区は，KP無添加の濃厚飼料を給与する対照区，濃厚飼料の7.5%または15%をKPに置き換えた7.5%区，15%区の3区とした．調査項目は飼料消化率，第一胃液性状および胃液pHとした．なお，胃液pHの測定には，学術研究用に試作した無線伝送式pHセンサーを用いた．【結果】乾物摂取量と飼料消化率では，処理による差は認められなかった．第一胃液性状では，対照区と比べて酪酸割合が15%区で，A/P比が7.5%区でそれぞれ高まった（p<0.05）が，胃液pHには処理区間差は認められなかった．よって，KPは肥育中期の黒毛和種牛へ濃厚飼料の代替として利用できるが，第一胃発酵の安定化に対する効果はあまり大きくはないことが示唆された．