日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2019年9月18日(水) 13:30 〜 16:20 第II会場 (7番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産部門)、舩津 保浩(酪農大食と健康)、川井 泰(日大生資科)、重盛 駿(信州大農)

13:40 〜 13:50

[II-18-02] 鹿挽肉に添加したNaClの含量が鹿肉ソーセージのテクスチャー特性および保水性に及ぼす影響

*中井 瑞歩1、西山 萌乃1、鈴木 結子2、村元 隆行2 (1. 岩手大院総合科学、2. 岩手大農)

【目的】環境省および農林水産省は, 農作物に被害を及ぼす野生鳥獣の捕獲強化を推進している. そこで, ジビエの有効利用の一つとして, 口内でばらけにくい鹿肉ソーセージを製造するため, 鹿挽肉に添加するNaClの含量が鹿肉ソーセージのテクスチャー特性および保水性に及ぼす影響について検討を行った.【方法】野生ホンシュウジカ16頭を銃器またはわな猟により捕獲および屠殺し, 胸最長筋を採取し, 挽肉サンプルを作成した. 挽肉サンプルに, 0.01%(0%区), 1%(1%区), 2%(2%区), および3%(3%区)のNaClを添加して混和し, サンプル管に注入して湯浴を行った. 湯浴後に冷却し, 厚さ10mmの円柱状のサンプルを作成し, テクスチャープロファイル分析を行った. 得られたテクスチャーの値を, テクスチャーからソーセージの口内でのばらけにくさを推定する式(村元ら2017)に当てはめた. 【結果】クッキングロスは, 1%区, 2%区, および3%区が0%区に比較して有意に低かった. 凝集性および付着性には試験区間での有意な差はみられなかった. ガム性荷重は2%区が0%区に比較して有意に高く, また3%区が0%区および1%区に比較して有意に高かった. 得られたテクスチャーの値を村元ら(2017)の推定式に当てはめた結果, 口内でばらけにくい鹿肉ソーセージを製造するためには, 2%以上のNaClの添加が必要である可能性が示唆された.