日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

遺伝・育種

2019年9月18日(水) 14:00 〜 16:45 第III会場 (2番講義室)

座長:福田 智一(岩手大理工)、佐藤 正寛(東北大院農)、後藤 達彦(帯畜大農)、井上 慶一(家畜改良セ)

15:35 〜 15:45

[III-18-09] 黒毛和種の枝肉格付成績および理化学分析値におけるゲノムインプリンティング効果の推定

*井上 慶一1、井上 喜信2、小江 敏明3、西村 雅美2 (1. 家畜改良セ、2. 鳥取畜試、3. 鳥取県畜産課)

【目的】黒毛和種の枝肉格付成績および理化学分析値におけるゲノムインプリンティング(GI)効果を明らかにするため,GIモデルを用いて遺伝的パラメータを推定した.【方法】鳥取県で肥育された黒毛和種肥育牛4,220頭の枝肉格付成績,胸最長筋部分の粗脂肪含量(CF),水分補正後グリコーゲン含量,ガスクロマトグラフィーで測定したオレイン酸とモノ不飽和脂肪酸(MUFA)および近赤外線分光装置で測定した筋間脂肪のオレイン酸(C181N)を分析に供試した.父方および母方配偶子分散とこれらの共分散を推定可能なGIモデルを用いて遺伝的パラメータを推定し,推定された分散成分から総遺伝分散,メンデル分散およびGI分散を算出した.【結果】枝肉成績のうちロース芯面積とBMS,理化学分析値であるCF,C181NおよびMUFAにおいてメンデル遺伝分散が総遺伝分散よりも大幅に減少していた.この減少は,有意なGI分散によるものであり,全分散に占めるGI分散の割合は22%~33%であった.また,これらのGI分散は全て有意な母方配偶子分散によるものであり,全分散に占める母方配偶子分散の割合は18%~32%であった.BMSでは,負の父方配偶子分散が算出されたことから,部分GIの可能性が示唆された.