日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

遺伝・育種

2019年9月19日(木) 09:30 〜 10:50 第III会場 (2番講義室)

座長:佐々木 修(農研機構畜産部門)、美川 智(農研機構畜産部門)

09:40 〜 09:50

[III-19-02] ニワトリの従順性行動における品種差および性差

諸井 沙紀1、西村 健志2、今井 菜々1、國重 享子3、佐藤 駿3、*後藤 達彦1,4 (1. 帯畜大畜産、2. 帯畜大院、3. 道総研、4. 帯畜大GAMRC)

様々な日本鶏品種が日本の地鶏産業において利用されている.地鶏産業では,過度の騒音や捕獲時の不手際などの突発的な環境刺激によって,多くの個体が圧死する事故がしばしば起きる.このような経済的損失を防ぐためには,ニワトリがより穏やかで従順かつ,物事に動じない行動特性をもつことが必要と考えられる.そこで本研究では,新たなハンドリングテストを考案し,シャモ,ロードアイランドレッド,ナゴヤ,オーストラロープ,ウコッケイ(雌雄それぞれn = 10)およびシャモxロードアイランドレッドのF1(雌n = 10)の成鶏を対象に,従順性行動の評価を行った.個別ケージの各個体に対して,一分間のハンドリングテストを行い,ヒトの手に近づく回数,ヒトの手から離れる回数ならびに歩数をカウントした.ヒトの手に近づく/離れる回数は,ニワトリの首の動きに着目して評価した.分散分析によって,品種,性別およびヘテローシスの効果を検定した.ヒトの手を避ける行動では,雄が有意に高い値を示した.また,有意な品種および性別の交互作用が認められ,ナゴヤの雌はヒトの手を避ける行動が有意に低いことが明らかになった.さらには,ヒトの手を避ける行動においてヘテローシス効果が認められた.地鶏産業では,しばしばF1雑種が用いられることから,本ハンドリングテストを利用して,品種およびそれらの組み合わせを評価する必要性が示された.