日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

遺伝・育種

2019年9月19日(木) 09:30 〜 10:50 第III会場 (2番講義室)

座長:佐々木 修(農研機構畜産部門)、美川 智(農研機構畜産部門)

10:00 〜 10:10

[III-19-04] 抗菌性ペプチドを指標としたブタマイコプラズマ性肺炎抵抗性育種の可能性

*一関 可純1、上本 吉伸1、陸 拾七2、門脇 宏3、柴田 千尋3、鈴木 英作3、小川 伸一郎1、鈴木 啓一1、佐藤 正寛1 (1. 東北大院農、2. 理研、3. 宮城県試)

【目的】抗菌性ペプチドを指標としたブタマイコプラズマ性肺炎(MPS)抵抗性育種の可能性を検討するために,抗菌性ペプチドの一つであるβディフェンシン2の血中濃度(DEFB2)の遺伝的な影響,ならびにDEFB2の産生誘導を行うインターロイキン17の血中濃度(IL17)およびMPS病変スコアとの遺伝的関連性を調査した.【方法】宮城県畜産試験場においてMPS病変スコアが低下する方向に5世代選抜したMPS抵抗性ランドレース種集団を用いた.血統情報1,395頭を用いた.MPS病変スコアをもつ調査豚約300頭について,ELISA法によって7週齢時および105kg時のDEFB2を測定した.遺伝率,遺伝相関および環境相関は,DEFB2,MPS病変スコア,IL17等からなる多形質アニマルモデルREML法により推定した.【結果】DEFB2は遺伝率が低く(7週齢時0.14,105kg時0.09),DEFB2とMPS病変スコアとの間に低い負の遺伝相関(7週齢時-0.23,105kg時-0.13)を示したことから,MPSの選抜指標には適さないことが示唆された.一方,DEFB2とIL17との遺伝相関は測定時期によって異なり(7週齢時0.85,105kg時0.08),環境相関は共に正の中程度(7週齢時0.42,105kg時0.55)であったことから,DEFB2とIL17は非遺伝的な影響が大きいことが示唆された.