日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

遺伝・育種

2019年9月19日(木) 09:30 〜 10:50 第III会場 (2番講義室)

座長:佐々木 修(農研機構畜産部門)、美川 智(農研機構畜産部門)

10:30 〜 10:40

[III-19-07] 国内水族館のイルカにおける個体識別および親子判定用マイクロサテライトマーカーセットの構築

*伊藤 智仁1、塗本 雅信1、北 夕紀2、戸田 昌平1、若林 郁夫3、勝俣 浩4,5 (1. 家畜改良事業団、2. 東海大生物、3. 鳥羽水族館、4. 鴨川シーワールド、5. 日本動物園水族館協会)

【目的】日本動物園水族館協会(JAZA)の加盟園館で飼育されているイルカは,飼育個体間で繁殖を進めてきている.限られた飼育個体による繁殖では,近親交配を回避することが重要となる.このためには国内イルカで利用可能なマイクロサテライト(MS)マーカーを利用して,個体識別・親子判定が行える環境整備が必要である.今回,バンドウイルカおよびスナメリで利用可能なMSマーカーの選抜およびマルチプレックスPCRによる検査系を構築したので報告する.【材料及び方法】個体識別には,JAZA加盟園館で飼育されているバンドウイルカ218個体およびスナメリ21個体を対象とした.MSマーカーはイルカの親子判定で報告されている27個を選抜した.【結果と考察】27個のMSマーカーをマルチプレックスPCRで増幅できる検査系を構築した.バンドウイルカは1マーカーで多型が無いため26個のMSマーカーにより父権否定率(PE)を計算したところ,PE1(父-母-子)では1-1.0×10-10となり,PE2(父-子)では1-1.0×10-6であった.スナメリは検査頭数が少ないため参考程度であるが,PE1では1-2.2×10-5,PE2は1-3.4×10-3であった.両品種とも総合識別能力(APD)は1-1.0×10-15以下であった.これらのMSマーカーセットは,個体識別および親子判定を行う上で有効であることが示された.