日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境

2019年9月19日(木) 09:30 〜 11:30 第IV会場 (4番講義室)

座長:竹田 謙一(信州大)、長谷川 輝明(千葉県畜産総合研究セ)、青山 真人 (宇大農)

10:50 〜 11:00

[IV-19-09] サシバエ天敵寄生蜂の国内初発見とその意義

*松尾 和典1 (1. 九大院比文)

【目的】サシバエ防除のさらなる一手として,天敵を用いた防除法,生物的防除の可能性を検討している.本研究では,サシバエにはどのような天敵寄生蜂がいるのか,種構成の解明を試みた.【方法】2018年と2019年,福岡県内2か所の牛舎において,堆肥内のサシバエ蛹を採集した.得られた蛹は研究室に持ち帰り,個別飼育した.羽化した寄生蜂を顕微鏡で観察し,種の同定を試みた.【結果と考察】2種のコガネコバチ科寄生蜂Spalangia cameroniS. endiusがサシバエ蛹から羽化してきた.前者は国内初発見の種であった.どちらもサシバエの主要天敵として記録されている種であるが,とくにS. cameroniは欧米諸国でサシバエ防除資材として販売されている種である.今回の発見は,国内で生物的防除を推進する上で,非常に重要な知見と位置づけられる.寄生蜂を用いた生物的防除は,既存の防除体系と併用可能であり,また,大型設備投資の必要がないことから,普及の面でも有望な手法である.今後,これらの天敵寄生蜂の分布や生態的特性など,活用に向けた研究を進めたい.