日本畜産学会第126回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

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2019年9月18日(水) 09:30 〜 10:45 第IV会場 (4番講義室)

座長:塚原 隆充(栄養・病理研)、三森 眞琴(農研機構畜産部門)、青山 真人 (宇大農)、豊後 貴嗣(広島大院生物圏)

09:30 〜 09:45

[IV-YS-01] 肥育前期における木質パルプ飼料のメタン産生抑制効果

*青池 匠1、平井 旬1、正木 達規2、生田 健太郎2、岩本 英治2、篠倉 和己2、黒須 一博3、松尾 歩1、陶山 佳久1、寺田 文典1 (1. 東北大院農、2. 兵庫農技総セ、3. 日本製紙)

【目的】温室効果ガスであるメタンは反芻動物からも排出され,肥育牛では粗飼料を多給する前期においてメタン産生割合が大きいものと推測される.そこで,肥育前期牛を用いて,エネルギー価が高く良質な粗飼料として注目されている木材パルプ飼料(パルプ)によるメタン産生抑制効果について検討した.【方法】処理区として対照区,低パルプ区および高パルプ区(試験区)の3区を設け,黒毛和種去勢牛23頭を供試した肥育試験前期において,スポット法によりメタン産生量を測定した.測定時の供試牛の月齢は14.6か月であった.飼料は,対照区では粗飼料として稲わらを2.0kg給与し,低パルプ区では粗飼料の25%を,高パルプ区では50%をパルプで代替し,配合飼料は6kg給与した.また,ルーメン液性状およびルーメン細菌叢について分析した.【結果】1日当たりのメタン産生量およびメタン関連形質に処理区間差は見られなかった.VFA組成に関してプロピオン酸濃度(P<0.05)および割合(P<0.10)が試験区で増加し,酢酸プロピオン酸比(P<0.10)は低下した.ルーメン細菌叢では,Methanobacteriacaeaの生育割合が試験区で低かった(P<0.05).パルプによるメタン産生抑制効果は明確ではなかったが,VFA組成やルーメン細菌叢の変化などから,パルプの有用性についてはより長期での評価が必要であると考えられた.