The 126th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

Thu. Sep 19, 2019 9:30 AM - 11:10 AM 第V会場 (6番講義室)

座長:本田 和久(神戸大院農)、奈良 英利(石巻専修大)、村井 篤嗣(名大院生命農)

10:50 AM - 11:00 AM

[V-19-09] 自然日長シミュレーションを用いた情動行動や遺伝子発現の季節変動解析

*柴田 健児1、古瀬 充宏1、安尾 しのぶ1、大坪 駿1、谷口 栄望1、服部 歩実1 (1. 九大院生資環)

動物の生理や行動には季節変動があり,生理・行動欲求に合わせた飼養管理のためにはそれらの季節変動パターンを理解する必要がある.季節の変化は主に日長を介して動物の生理や行動を調節するが,多くの研究では固定日長条件(長日や短日)が用いられており,自然日長の影響はほとんど知られていない.ヒトでは日長の変遷時期である春において情動が不安定になることが知られており,自然日長条件での行動解析は精神医学的にも重要である.本研究では1年の自然日長を1/3に圧縮した日長シミュレーション条件において,マウスにおける情動行動や関連遺伝子の発現を解析した.常時12L12Dで飼育した動物を対照群とした.自然日長シミュレーション下の3,5,6,9,11,12月にあたる時点でオープンフィールド試験を行った結果,開始15分以降の移動距離(環境馴化の脆弱性)が5月に多く9月に少ないという季節変動を示した.またホールボード試験では3月と9月に中央滞在時間(抗不安/躁様行動)が多かった.3,6,9,12月の時点で海馬における情動関連遺伝子の発現を解析した結果,5-HT1Aの発現が9月に減少すること,Drd2の発現が3月に増加することが明らかとなった.本研究により,春(3月および5月)や秋(9月)という日長の変遷時期において,特徴的な情動行動変化や脳内セロトニンおよびドーパミン系の変化が見られることが示唆された.