[P3-28] 受胎可能性の高いウシ胚の 3 次元形態解析
【目的】ウシ胚移植の受胎率は近年 50% 程度で停滞し、改善が求められている。胚移植の受胎性は、胚の品質とともに子宮環境による影響が大きい。子宮内膜炎に罹患しているウシは長期不受胎となることが多く、血中の内毒素(リポ多糖;LPS)濃度が高い。本研究では、受胎性の高いウシ胚の形態を調べる目的で、LPS 負荷下においてハッチングに至ったウシ胚の形態を、光干渉断層撮像(OCT)システム(SCREENホールディングス製)を用いて解析した。【材料および方法】常法に従い作出し、受精後 7 日目に胚盤胞期胚まで発育した体外胚を実験に用いた。胚の形態を OCT システムで撮影した後、LPS を 100 µg/ml となるように発生培地に添加した。48 h まで培養を継続し、ハッチングの有無を調べた。OCT システムで得た 3 次元画像から内細胞塊(ICM)、栄養外胚葉(TE)、胞胚腔および全体の体積など 22 項目を定量化した。【結果および考察】ハッチング胚はしなかった胚と比べて、ICM の平均厚が厚く、ICM の体積が大きく、TE の平均厚が薄かった。また、ハッチング胚は、透明帯の平均厚が薄く、胞胚腔および胚全体の体積が有意に大きかったことより、発育の早い胚が LPS 負荷下においてもハッチングしやすく、受胎性が高い可能性が示された。本研究から、子宮内膜炎に罹患しているウシでも、胚の品質を高めることで受胎する可能性があることが示された。