[I-15-03] ホルスタイン種初産牛における周産期の血中遊離脂肪酸(NEFA)濃度とルーメン内発酵パターンの関係
【目的】初産牛は体成長と平行して乳生産が行われるため、周産期の精密な飼養管理が求められる。ホルスタイン種初産牛における周産期の血中NEFA濃度とルーメン内発酵パターンの関係を解析した。【方法】公設試においてホルスタイン種初妊牛52頭を供試した協定研究データを用いた。飼養試験は分娩予定6週前(-6週)から分娩後16週まで行い、-1、3、7および16週の血液性状およびルーメン液性状を調査した。【結果】3週目のNEFA濃度の平均値(468 µEq/L)で群分けすると(高NEFA(H)群および低NEFA(L)群)、-1、7および16週目でもL群のNEFA濃度が有意に低かった(P < 0.05)。乾物摂取量(DMI)は3週のL群で有意に高かった(P < 0.05)。ルーメン内容液性状について、3および7週目のL群の短鎖脂肪酸濃度は高い傾向があり(P < 0.1)、A/P比は低かった(P < 0.05)。ルーメン内発酵における代謝性水素([H])の動態については、3および7週目のメタン生成に利用された[H](HUM)と短鎖脂肪酸生成に利用された[H](HUS)の比(HUM/HUS比)がL群で有意に低かった(P < 0.05)。これらのことから、3週目のNEFA濃度が低い牛群は、乾物摂取量が高く、A/P比が低いプロピオン酸優先型の発酵パターンであることが示された。